庭師見習い公爵令嬢

ゆりあ

第一章・伯爵家との出会い

第1話



「リージー公爵夫人。」


「あら、リュネット伯爵。」


「ええ、本当に、お久しぶりでございますね。ご機嫌いかがでしょうか?」


「ふふふ。ご機嫌よ。わたくし、今日は、娘と一緒に来ていますのよ。珍しいでしょう?」


リュネット伯爵というお優しそうなおじさまがお母様に声を掛けている。


この方は、騎士団の団長補佐にあたる方です。


見た目はお優しそうですが、厳しいという噂が流れていましたね。実際にお会いしたことは、これが、初めてでございます。


「おや、これは、これは、お美しいご令嬢だ!公爵夫人によく似ておられますね!」


「あ、ありがとう存じます。」


父親に似たクリーム色の長髪に淡い茶色の瞳をしているから、わたくしは、父親似のはず。


黒のカールした長い髪に淡い紫の瞳を持つ母に似ているかしら?


「わたくし、お父様似だと思っていましたが、お母様にも似ていますか?」


「お嬢様の色合いは公爵様に似ていらっしゃいますが、公爵夫人にそっくりでございます。」


「まあ!お母様に……!嬉しいお言葉ありがとう存じます。リュネット伯爵。」


お母様のお若い頃の肖像画を見ましたけれど、幼い頃から、とても美少女なのです!


その伯爵のお言葉は、お世辞だとしても、大変嬉しいものです!


「わたくしは、リージー公爵の長女、一人娘のオリヴィエ・フィーネ・リージーと申します。よろしくお願い致します。リュネット伯爵。」


「リュネット伯爵を務めています、レオーン・リーム・リュネットと申します。こちらこそ、よろしくお願い致します。オリヴィエ嬢。」


「リーム………!リュネット伯爵は、リーム公爵家の親族の方、なのですか?」


「ええ、はい、私は、リーム公爵の弟の息子、公爵にとっては、甥にあたります。」


国王陛下のお母様、先代国王のお后は、リーム公爵の長女にあたるお方です。


つまり、リュネット伯爵は、国王陛下の母親の

従弟にあたるお方。なるほど、だから、陛下にかなり信頼されていらっしゃるのですね。


いえ、失礼しました。親戚ではなくとも、このお人柄なら、陛下に気にいられそうですわ。


「リュネット伯爵、わたくしの娘は、控えめでとっても可愛いらしいでしょう?」


「お、お母様っ!?突然、何をおっしゃって!お恥ずかしいので、やめて下さいませっ!」


「ええ、とても、非常に可愛いらしいですな。妻や娘達に会わせたいくらいですよ。」


「リュネット伯爵!?」

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