フォールガールズ7
「今です! 和希さん!」
「任せろ!」
私はキーパーに専念する事にして、弾き飛ばしたボールを和希さん達にカウンターしてもらう事にしました。
「――――ふぅ」
とりあえず小休止しながら状況を見極めつつ、今の私に出来る事と言えば。
「シャンティ。このゲームの操作説明って見れますか?」
「えっ!? 試合中だけど今から見るの?」
「他にも変なボールが出てこないか、今のうちに確認だけでもしておこうと思って」
「あ~。そういう事か~。オッケーすぐ送る」
直後。私の前に電子モニターが表示され、このゲームで使うボールの一覧が出てきました。
「えっと。サッカーボールとラグビーボールの他にはピンポン玉? これはここだと普通のサッカーボールの大きさで実質サッカーですね。他には…………スイカ? 蹴った瞬間に割れちゃうのでは?」
なんか予想以上に変なボールばかりだと思っていると、遠くからチームメイトの声が聞こえてきました。
「ごめん。そっち行った!」
私は急いでチュートリアル画面を指で飛ばしてフィールドを見ると、相手ゴール手前でボールを奪われて逆にカウンターをされている味方の姿が確認出来ました。
けど、ボール1個なら気合でなんとか―――――。
「すまない。止めてくれ!」
「えっ!?」
なんと。相手ゴール直前でシュートを放った和希さんですが、不規則なバウンドでゴールポストに直撃して弾き返されたラグビーボールが、そのままの勢いでこっちがわへと飛んで来ちゃってます!?
跳ね返ってきたラグビーボールとカウンターでのサッカーボールでの同時攻撃――――。
「かっ、体のどこかに当たってくださいっ!」
必死にボールに飛び込んだ私でしたが、頑張りもむなしく勢いのついたボールに吹き飛ばされ、そのまま両方のボールがゴールに入り2ゴールを許してしまったのです。
これで現在のスコアは1-2で相手チームが1点リード。
残り時間もほとんど残ってないので、良くて同点、悪くて…………敗北。
「ちょっとまずいかもな」
「こ、こうなったら何とか同点に――――――おや? あれは!?」
私は上を向くと、かすかにですが金色に輝くなにかが落ちてきているのが見えました。
その瞬間、私の中で逆転への一手。
唯一勝利する事が出来る道しるべが浮かび上がって来たのです。
「和希さん、合わせてください!」
私はゴールから飛び出して金色のボールが落下してくる場所へと移動して、和希さんもすぐ横についてくれました。
さっき操作説明で確認した通りの物なら、あれは1ゴールで3点分の得点になるゴールデンボール。
ゴールデンボールが落ちてきた事で、もうこの試合に引き分けは無くなりました。
今後の展開はあれを決めて逆転か、決めれずに負けるか!
…………まあ、相手に決められる可能性もありますが、今はそんな事は考えないっ!
「やああああっ。サクラ・ドライブシュート!」
「カゲロウ・ショットだあああ!」
ボールがフィールドに着地した瞬間、私と和希さんの合せ技「ドライブカゲロウ・ツインシュート」を繰り出してボールを相手ゴールに蹴り飛ばしました。
くどいようですが、技名を叫んでも威力がアップしたりはしませんが、今回は2人のタイミングを合わせるといって意味でとても重要だったりします!
味方が相手チームを体を張って押さえつけてくれているので、ボールの前に残ってるのはゴールキーパーだけ。
「いっけええええええっ!」
相手キーパーはどっしりと構えてボールを体全体でキャッチしようとしています。
けど、私達の必殺シュートがそう簡単に止められるわけ――――。
じりじりと相手キーパーが少しずつ後ろに押されて行きますが、ロングシュートだったせいかちょっとだけ威力が足りなかったかも…………。
こうなったら無理やり押し込むっ!
「はいれええええっ!!」
私はボールに突撃しておもいっきりダイビングヘッドして更に押し込みます!
―――――あとちょっと。
「これで終わりだ!」
うしろから和希さんが走ってくる声が聞こえてきました。
後はダイビングヘッドした私の足に和希さんがドロップキックで威力を上げたら決まりです!
―――――そう思っていたら、何かがゴロゴロと転がってくる音が後方から聞こえてきて、なにやら嫌な予感が。
「いったい何が?」
ダイビングヘッドを止めて後ろを向くと、そこには凄い勢いで転がってきてるサッカーボールが見えて。
「ええええええええええっ!?」
サッカーボールは私とキーパーもろともゴールデンボールを巻き込んでゴールへと突き刺さり、その瞬間ゲームの終了を告げる笛がフィールドに鳴り響きました。
「そ、そういえばボールは2個あったんでした…………ガクッ」
いろいろありましたが、なんとかこのゲームも勝利で終わった私達は最終ステージへと転送されていきました。
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