第7話・魔法の理
その宿の一室に寝泊まりをしていたアースラとシャロは夜の座学を行っていた。
「よし、それじゃあ最後に以前教えたことをいくつか質問する。まずは魔法序列について簡潔に答えてみろ」
「魔法には第1から第12序列まであって、序列が上がればそれだけ威力が強力になりますが、扱いが難しくなります」
「それじゃあ第11、12序列魔法とはどんなものだ」
「11、12序列に属する魔法は現在では
「上出来だ、次に
「マジックエンチャンターは魔法を操る者の総称で、一部例外はありますが魔法は魔導書で習得するか、魔法の心得がある人に教わるのが基本になります。ですがこの行程を踏んでも、全ての人が魔法を使えるようになるわけではありません」
「ちなみに俺が
「第5序列魔法ホーリーライトかホーリーウインドのどちらかだと思いますが、あの時の状況を考えるとホーリーライトだと思います」
「その理由は何だ」
「
「いい洞察だ」
「そういえば師匠ってどこまでの序列魔法が使えるんですか?」
「そんなの教えるわけねえだろ」
「どうしてですか?」
「マジックエンチャンターにとってどんな魔法を使えるかは勝負の重要な駆け引きになる、だからどんな魔法が使えるかなんて話すわけねえだろ」
「それはそうかもですけど、私にくらいは教えてくれてもいいじゃないですか、一応弟子なんですから」
「駄目だ」
「どうしてですか?」
「お前が他の誰かに口を滑らせる可能性もあるからだよ」
そんなアースラの言葉を聞き、シャロは眉間に
「私がそんなお喋りさんに見えますか?」
「だから可能性の問題だって言ってんだろうが、俺たちが戦う相手はモンスターや魔獣だけじゃない、人も含めた多くの種族が対象範囲だ。だからお前も無闇に自分の力について喋ったりするなよ、足元を
「でもそれだと私の使える魔法を知ってる師匠には勝ち辛いってことになりませんか?」
「まあそうだな」
「それってズルくないですか」
「ズルくねえだろ、俺はお前の師匠だし」
「えー! やっぱりズルいですよっ!」
「うるせえ奴だな、今日の座学は終わりだ、さっさと寝ろ」
「逃げるんですか!」
「どうしても知りたいなら力尽くで使わせてみろ」
「言いましたね? いつか必ず使わせてみせますから首を洗って待ってるといいですよ」
「おーおー、いつも威勢だけはいいな、やれるもんならやってみろってんだ」
「やってやりますよ! その時になって吠え面をかいても知りませんからねっ!」
「その前にお前の吠え面を十万回は見てやるよ」
こうして2人が借りている部屋からはしばらく言い争いの声が聞こえ、最終的に苦情を受けた宿の主人から厳重注意を受けた。
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