黒と赤
キノシタ
第1話
人はいろんな色を持ち…色んな感情を持っている。
パステル調の淡い色や原色の明るい色・白や黒みたいな単色などがあってそれぞれ気持ちを表すことが色でできる。
ー私の今の色は単色の黒と原色の赤ー
この二つの色、綺麗だよね。
パステル系のふわふわな色も好きだけど、私には似合わない。
だって、私の心の中は黒と赤で渦を作り色んな物を飲み込む勢いだから。
私の中にある黒は宇宙にあるブラックホールで、赤は血の色かな。
怖い意味じゃないよ?生きてる証の色だから。
私が黒と赤の渦を作り出した理由…簡単に言うと嫉妬だよね。
人ってね、必ず嫉妬をする生き物なの。
友達に親に兄弟に。
変わった人だったら、動物や物に嫉妬する人もいる。
まぁ、話は長くなったけど私の嫉妬の対象相手はちょっと特殊だ。
相手は私のことを知らない。
だって、私が勝手に熱狂的に応援しているアイドルだから。
《好きの度合いが高すぎると好きの濃度が淡い色から濃くなっていく》
でもさ、仕方ないよね?
私がこれだけ必死に応援して、グッズ買ったり・ライブに行ったり遠征費だってバカにならないのに頑張って応援しているのに私の好きなアイドルはまったく私の存在に気づいてくれない。
だから、ちょっと流石にむかついちゃって…
もうそろそろ、私を見てくれてもいいのにって。
私が彼女を応援し始めて何年が経ったかな?
3年…いや、4年か。
月日が経つのが早いよね。
あっという間の4年だった。
彼女に出会ったきっかけは、深夜の音楽番組だった。
深夜の番組ってあんまり見ないんだけど、なぜかこの番組をつけたままにしてボーッと見ていた。
その時に、番組で歌っていたのが彼女だ。
無名の彼女はキラキラしていた。
必死に歌を歌い踊り、輝いていた。
私の心はすぐに鷲掴みにされ心臓から血が出るんじゃないかと思ったし。
私の目は彼女が動くたびに視線が動き、瞬き以外は彼女から視線を離さない。
私の目は彼女に虜だった。一目惚れに近いのかな?
まさか、同性の女の子をこんなにも好きになるなんて思わなくて最初は戸惑ったけど…世間には私のように異性のアイドルを熱狂的に応援する人がいるから普通なのかなって思えた。
私の場合は私と同じ同性の女の子だったけどこれも普通だよね。
アイドル好きな女の子、最近多いし。
「琴美、あんたいい加減にしなさい!」
「ちょっと!勝手に部屋に入ってこないでよ!」
「部屋、片付けなさいよ!」
「あとでするから、出て行って!」
「本当、ゴミばかり集めて…」
「ゴミじゃない!私の宝物なの」
せっかく、彼女にファンレターを書いていたのに母に邪魔された。
私の思いを込めながら、一文字一文字書いていたのに気分を害してしまった。
私が彼女の事をどれだけ見ているのか、応援しているのか分かって欲しくて私の思いの丈を書いている最中なのに邪魔をされた。
ムカつく、ムカつく…何で私の邪魔をするの?
「琴美、応援するのはいいけど程々にしなさいよ」
「こんなの普通じゃん」
「この散らかった部屋を見ても、気づかないの?」
「だから、整理すればいいんでしょ!」
早く出て行け!私のサンクチュアリに土足で入ってくるな!
この部屋は私と彼女の神聖な場所なんだ。
私が彼女に対して心から応援できる場所であり、宝物に囲まれた大事な部屋。
「応援するなら、男の子のアイドル応援すればいいのに…」
「出て行って!彼女をバカにするな!」
男のアイドル?バカじゃないの!
アイドルだから好きなわけじゃない。
私は彼女の存在自体が好きなんだ。
頑張り屋で、芸能界で売れるために必死に頑張ってる人の事を応援して何が悪いの?
それに、男とか女とか時代錯誤でイライラする。
頭が古すぎだし、人の好きなものを否定しかできない人は楽しみがないつまらない人。
こんな人間にはなりたくないよね。
私は絶対に母みたいな人生を送りたくない。
私は彼女を応援することが人生の生きがいだから。
私の人生は華やいで花で例えると赤いバラが私の周りを囲み、素晴らしいバラの匂いで満ち溢れている。
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