「俺の名前はココア」
新豊鐵/貨物船
第1話 「子犬と山神と俺!?」
俺の名前は須藤琢磨(スドウ タクマ)。
彼女もいない17歳・・・
進学を諦め中学を卒業後、色んな人達の好意を受けて近所の町工場でコツコツ真面目に働いてる。
自慢じゃないが俺は算数が苦手だ!
人生は計算で生きるもんじゃないってのが俺の哲学!
人には言えない理由があり何事も真剣に頑張ったことがない。
人を探して方々を必死に歩き回ってた日のこと・・・
腹も減ったのでコンビニで買ったフランクフルトを食べながら周囲を見廻し歩いていると小犬が足もとに寄って来た。
ちっちゃい体で俺の後を必死で追い掛けて来る
多分、俺様のこのソーセージが食べたいのだろう?
いや、食べたいのはこのフランクフルトである。
ちょっと食べさせてやるか!?
そう思った俺は歩みを止めてしゃがみ込んだ。
少しだけちぎって与えると子犬は喜んでピコピコとシッポを音速で振りながら美味しそうに食べてる。
良く見るとつぶらな瞳がとても可愛い!
「誰かを探してるのか?・・・それとも誰かに捨てられたのか?」
子犬に話し掛けてみるが吠えるだけでわからない。
それでも俺を誰かと間違えているのかシッポを絶えず振ってる!
人探しの途中なのでどうしようかと考えてると子犬が俺の膝に前足を掛けた瞬間・・・「ア~ッ!?」
俺は何故かそのまま気を失っていた。
ん~っ!何かいい匂いがする・・・しかも美味いぞ!
気が付くと俺はフランクフルトを喰っていた!?
だが視点が違う!
やけに地面が近いしフランクフルトには砂が付いてる、口の中もジャリジャリしてる・・・
「どういう事なんだこれは?」
何が起こっているのかもわからずにいると
「おう!もう目が覚めたのか?」
何やら爺さんらしき声が聴こえた。
「何だ?どこにいるんだ!?」
食べる事に夢中だった子犬はキョロキョロする
「お前と同じ子犬の体の中じゃよ」
その声は自分の頭の中で聴こえてる様な感じだった。
子犬はまたフランクフルトを食べはじめる。
「子犬の中!?・・・俺は犬になっちまったのか?」
俺が驚いた口調で答えると
「バカにしてはなかなか理解力があるではないか」
そう言いながら爺さんは高笑いをした。
「何がどうなっているんだ、ちゃんと説明しろ!」
俺が怒鳴る様に大きな声で言うと
「おいおい!同じ体の中にいるんじゃからそんなに怒鳴らんでも聴こえとるわい」
呆れた口調で俺に言うと
「この子犬の体の中には子犬とわしとお前の3人が入っている訳じゃ」
「わしはこの先の山に住んでおった山神(ヤマガミ)なんじゃが石碑が数日前に大蛇に倒されてしまってのぉ・・・」
「近くを通りかかったこの犬に憑依してここまで来た」
「腹も空いたし何とのう使えそうじゃったからついでにお前を取り込んだっちゅう訳じゃ!」
大蛇だと・・・そんなにデカい蛇が山奥とは言っても生息してるはずもないではないか?
しかも使えそうだったから子犬に取り込んだだと!?
この爺さんは山神だと言って呑気に話してるがやってることは重大ではないか!
俺はその神という声の主に言った
「じゃあ俺はもとの姿に戻れるのか?山神さまぁ!」
「なぁ今すぐ戻してくれよ・・・俺が悪かった!頼むから人間に戻してくれよ」
別に悪いことをしたとは思ってないのだが相手は神様なのだ!・・・逆らった所でもとの人間になれるとは思えない・・・
俺が半ば泣きそうな声で頼むと
「誰か人間を探して石碑をもとに戻して貰わねばならん、戻さねばわしはそこに帰れんからのぉ!協力してくれたらお前を人間に戻してやろう」
こうなってしまったら無駄だと悟った俺はこう言った。
「わかった協力するよ!じゃあすぐに誰か探そう!」
そして子犬に向かって怒鳴る
「こら!いつまで喰ってんだ!早く歩けよ!」
子犬は残ったフランクフルトをくわえ歩き出した。
「お前はなかなか賢い奴じゃ・・・頼りにしておるぞ」
山神はそう言って高笑いした。
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