第45話 代々木公園で1年前を回想!

 代々木公園の木立からこぼれる春を感じさせる柔らかい

陽光を浴びながら、至福の時が流れて行きます。



「ねー貴方・・・私、今、とても幸せな気持なの・・・昨年の5月に初めて来たときには今日のこの風景なんかとても想像できなかったわ・・・あの時は、まだ、まだ

ぎこちなくて、貴方がリードしてくれるままに、行動していただけだった・・・

わずか9ヶ月でこんなに風景が変わってしまうんだもん・・・あの時、

木立の下でブルーシートを敷いて、お弁当を楽しそうに食べている

カップルの事、覚えている?そして、その時、貴方が俺達もあんな

感じになれればと?ポツリつぶやいたのも・・・・私はしっかり覚えているのよ

・・・」


 そんな事が確かにありました。新緑の5月でした。確かにこの木立

の下でブルーシートを敷いて、楽しそうにお弁当を食べている仲のよい

カップルの事を俺もはっきり覚えています。間違いなく、「あんな感じに

なれれば・・・」と言った事を覚えています。


 「あのさ・・・由紀子・・・あの時と同じようにこの姿を見て、いいなあーと思う人たちがいるかも知れない・・・そんな人たちに俺達が今、舞台の上にいるんだよ・・」

「そーよね・・・私達のこの風景を見て、いい感じに思う人達がいるのよ・・・間違いない!」

「ねー貴方・・・私・・・この空を真っ青なペンキで塗り潰すよりも

貴方の心の真っ白な部分を塗り潰す方が、はるかに簡単だと!

思って、貴方の心を私の色で塗ってきたの・・細かいケンカもしてる

けど、ずっと・・・ずっと今の気持ちを大切にしてゆきたいの・・」


「ねー貴方・・・ちゃんと聞いているの?」


「うーん・・・由紀子の気持は全部、解ってるよ・・・今日の為に、おまえがどれだけ思いを込めていたのかも・・・・」

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