第24話 二日酔いの洗礼 

 アクシデントの遅刻と思いながらも・・・

減点スタートのランチが始まりました。PM11:30を過ぎると

ぼつぼつお客さんが入り始め、PM12;00をすぎる頃には

60席あるテーブルが満席になります。PM1;30でクローズに

なりますが、わずか2時間で100食以上のランチが出ます。


 平均単価が¥1,000前後でしたが、第一京浜国道沿いで

当時はコンビニやファミレスがなく、昼食を取るところが少なかった

ので、1部上場のサラリーマンとOLには人気のスポットでした。


 ホテルのレストランですから、サービスも食事の内容も好評で

5日間、毎日通う、リピーターの方達で混雑していました。


 お客様を待たせてはいけない、経営姿勢のおかげで、調理場と

ホールとの戦争になります。洋食のランチにはスープから始まり

メインとサラダ、アフターでコーヒーまたは、紅茶のサービスをしなければ

なりません。


 調理場のカウンターにたまる注文品・・・「おい・・・動きが遅い・・早くもってゆけ・・・冷めちゃうじゃないか!」罵声が飛び交います。

とにかくお客様第一の対応でしたから、目が回るほどの忙しさで

2時間があっという間に過ぎて行きます。ようやく片付けが終わり、

遅い昼食になるのが、PM2;30前後です。


 これで1段落、PM6;00からの夜の部まではレストランが

クローズになりロビーサービスになります。

ケーキのサービスがなかったので、ドリンクの対応だけ・・・たまに、

連泊のお客さまのルームサービスがありますが、頻度が少なく、ほぼ

休憩時間になります。悪酔いの影響はありませんでした。ランチで

汗をかいたので、シャワーを浴び、ワイシャツを交換して一息でした。


 この日の夜は、月曜日のせいか、フリーのお客さまだけで、常連客

が影を潜め、静かな時間が過ぎて行きます。いわゆる暇な状態

ですが、クローズのPM10;00まで、手持ち無沙汰のまま終了・・・

軽く夕食を済ませ・・・さあ・・・早く風呂に入って帰ろう・・・


 従業員の更衣室と仮眠室そして、風呂が完備されていて、アルバイト

でも自由に風呂に入れるのが、大きな魅力でした。ゆっくり風呂で

悪酔いのケアをしてフロント裏の事務所に顔をだしたのが、PM11;00

前でした。

今晩のフロントナイトは中村さんでした。この方の奥さんが

偶然にも山梨・塩山の出身で新人の頃から、あれこれと可愛がってくれます。

「里中・・・もう帰るのか?・・・そこの冷蔵庫にアイスクリームがあるから

食べてゆけよ・・・」


 「中村さん・・・今日は用事があるので、お先に失礼します。」

「そうか・・・大学はもう春休みだろう・・・今週は水曜日も

ナイトだから、おまえも水曜日ホテルに泊まって、木曜日、映画に

付き合えよ・・・映画と昼飯は俺が奢るから・・・」


「中村さん・・・いつもすみません・・・木曜日、お供させてもらいます。

それじゃ・・・今夜は先に帰ります。お疲れ様でした」と告げて、足早

に地下鉄泉岳寺へ・・・

 上手く乗り継ぎ良ければ、PM11;30過ぎには

下宿に帰れます。


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