第23話 夢物語と現実の狭間

 明日から、低気圧が発達、この秋、

1番の寒波になるとラジオの天気予報が告げて

います。ようやく寒波か・・・明け方、目が覚め

トイレ、時計の針はAM6;00前でした。まだ、1時間

位眠れる・・温もりが残る布団の中に潜りこみます。

 浅い眠りの中で夢を見ていました。

山峡のひなびた温泉宿に2人がいます。その女性が特定

できません・・・名前がでてこないのです。俺のほうが、仕事や出張で

忙しくて、すれ違いの2人でした。満足な会話をしていない

月日が3週間位、続いていました。どちらとも無く、温泉

に行こう・・・スケジュールの確認を電話でやりとりして、山峡の

温泉宿に車を走らせます。満天の星空を眺めながら、温泉

につかります。そして・・・すれ違う心の糸をたぐり寄せようとしています。

どこで、間違ってしまったのか?今夜、心を締め付ける鎖を

ほどかないと、たぶんこのまま、終わってしまうかも知れない・・・

そんな夢を見ていました。毎日、「9月の雨」を書いているので

なんか感性豊かな夢のシーンでした・・・


 悪酔いの後遺症がようやく、収まり始めていました。2人で眠りについた後は、吐き気もなくなり、そのまま疲れて深い睡眠になったようです。

「ねー貴方・・・起きて・・もうAM10;00よ・・・AM11;00から

バイトでしょ・・・」

 由紀子の言葉で起こされました。確かに、AM10;00

過ぎていました。「ねー貴方・・・その身体の調子でバイトに行けるの?

無理しないほうがいいと思うの?」

 「うーん・・昨日、日曜日で休みだったし、月曜日に休むと他の人達に

迷惑がかかるんだ・・・・突然、休みといわれても、ホテルでも

人員の確保ができないし、俺の為にシフト変更しなければ、やりくりできないはず・・・誰かが、俺の代わりに出ないといけなんだ!・・・だから、バイトに行くよ・・・」

「そうなんだ・・・それじゃ・・・仕方無いわね・・・私がゆかないでと止めて

も貴方は行く人だから・・・もう何も言わない・・・貴方の悪酔いで

岩手に電話した内容も話しができなかったの・・・色々と相談しなきゃ

ならない事があるのよ・・・今晩、ラストまででしょ・・・出きるだけ早く

帰ってきてね・・・私、部屋で待っているから・・・」

「OO子・・ありがとう・・ずいぶん心配させたし、うーんと迷惑かけちゃった・・この埋め合わせは必ずするから・・・」

「ねー貴方・・・いいのよ・・・そんなこと・大好きな人が苦しんでるんだもん、介抱したり面倒みてあげるの当然のことじゃない・・

私が高熱でダウンした時、貴方はこの数倍、私の面倒みてくれたもん・・・

お互い様なのよ・・・じゃー私、部屋に戻るね・・・フロントで無駄話し

していないで、ちゃんと早く帰ってきてね・・・」

 そう告げると、彼女が自室に戻って行きました。

時計の針がAM10;10でした。


「やばい・・これじゃ・・遅刻だ!」大急ぎで身支度を終え、駅に

走ります。たまたま、乗り継ぎが良く、ホテルのタイムカードを押せたのが

AM11,05でした。「あ・・・間に合わなかった・・・遅刻だ!」

更衣室で、手早く着替えて、調理場の社員通用口から出勤です。

運悪く洋食のチーフと視線が合いました。「おはようございます!」

「なーんだ・・・里中・・・殿様出勤だな!」「はい・・・すこし寝坊しました・・

遅刻してすみません・・」「学生はいいよな!・・・」

その一言を言われるのがほんとに辛いのですが、遅刻は間違いない事実です。


 レストランの山口課長の元までゆき、「すみません!課長・・・遅刻です。」

「しようがねーな!里中・・・おまえ達は常務、社長の後輩と言う事で

ホテル従業員すべてが、おまえ達に注目しているんだ・・・当然、好奇な

目でみる奴もいるけど、みんなに見られていることを忘れるな!・・・とりわけ調理場は規律が厳しい縦社会・・・洋食のチーフなんか厳しい親方

のもとで、生きてきたから、遅刻や約束を破る奴、言い訳をする奴を

ほんとに嫌うから・・・今後は遅刻がないように!いいな!」

「はい・・解りました・・今日はすみませんでした・・」

すべて自分が悪いのです。言い訳などできません。まして、二日酔い

で遅刻なんて・・・遅刻をしないように気をつけてきたのに・・・残念!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る