第一部 ドッキドキ!千奈美ちゃんの『バレンタインデー』
『カメラ』を回す
みなさん、学校はお好きですか? ぼくは、嫌いでした。その理由は説明するまでもないでしょう。
『人間関係』。
もしこの他の理由があるとすれば、明確な「夢」がすでにその人にあって、でも両立できる環境が現在整っていない、と言えるかもしれません。「情報」や「知識」も含めて。しかし先に言ったとおり、ほぼ九割強は『人間関係』、他の言い訳はぜんぶ「嘘」。残念なことに、ぼくはとても「センシティブ」な人間だった為に、学校と一緒に『勉強』も嫌いになってしまいました。
ちょちょちょ、ちょっと待って。ぼく……? ぼくって一体誰?
えへん。ぼくというのは、「小説様式」でいうなれば、何通りかの呼び方ができるのかもしれません。
【その1】ナレーター。
【その2】作者である『島村
【その3】小説の登場人物の誰か(ぼくと言っているところから「男」が適当)、(ただし「過去」、もしくは「未来」から「現在」を見る視点になる)。
【その4】何か新種の知的生命体やAIロボ的なもの。前者ならファンタジー/後者ならSF(2020年現在)。
【その5】『異世界』とここを自由に行き来できる住人(登場人物でも「可」)。純文學で例えるならば、『五分後の世界』とでもしておきましょうか。「タイトル」超かっけえ!「村上龍」マジリスペクト!(本人が付けたのかどうかわからないけど)。
【その6】あなたの信じる『神』。わお!(この表現っていわゆる「信頼」と「愛」だぜ)。
In short,(要するに)、これは、「二人称」で書かれた「小説」になります。そう言われてもピンとこない方の為に、「朝の連続テレビ小説」を思い浮かべてもらえればわかっていただけるかな。
それはさておき、「小説」はすでに始まっています。これは、『まえがき』じゃありませんよー。「二人称」だと、なんと! こういうことができてしまうわけです。
この「小説」は「純文學」ではないし、「ラノベ」、正確には、「キャラ文藝」、「ライト文藝」の類でもなくて、活字による不思議な浮遊感をもたらす、『ポストモダン文學』である、をここに宣言したいと思います。
じゃあ、ぼくの『カメラ』をこれから登場してくれる友だちのいる学園に向けてみるよー。
今は四時限目で、「世界史A」をやってるようだね。ねえ、静かにしてなきゃだめだよ。「しーっ」だよ、「しーっ」。なんたって授業中だからね。
廊下側の一番前は、司馬くんの席です。司馬くんは、一年の五月から七月までのおよそ二カ月のあいだクラスメイトから『
名付け親は、さとみ様でした。
でも司馬くんは、そんなさとみ様のことをとっても慕っています。
さとみ様が、司馬くんをからかう時にだけ、クラスメイトは司馬くんに話しかけてくれるからでした。さとみ様には、その「力」があるのでした。
普通科二年C組は、さとみ様を中心とした「独立国家」と言っても意義を唱えるクラスメイトは一人もいません。
治安はまあよい方ですよ。なんたって、『墓石』のような司馬くんにもお気をかけてくださるのですから、「国家」のスローガンは『友愛』でしょうか。
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