第48話陸上自衛隊と組織犯罪

IR疑惑で係争中の国会議員が組織犯罪に基づいて裁かれというニュースがありました。元々、組織犯罪というのは暴力団なテロ組織を処断するための法律であった筈であり、違和感を感じましたが、今回は外国勢力との関係で裁かれるようです。

しかし自衛隊の中でも組織犯罪的なことは多々あるのではないだろうかと感じた次第です。例えば「柵の中にて」で描いた今は殆ど行われない部外工事先での新しい機材を、どの部隊より先に入手するためや隊員に休暇を付与するための空ぶかしや、陸上自衛隊や本土決戦時に重要な意味を有する兵站地試調査など全く行われていないにも関わらず虚構の上に組織維持を図らざる得ないという絶望的不誠実が成立したのである。「蜘蛛の糸」にて描いた人間関係も、そのような絶望的不誠実な組織を成立させる役割を担っていたと思う。

原発は絶対、安全であり、事故など起こらない。起こってはならないという思い込みによる者たちによる組織犯罪だったとも言えなくない。

元々、自衛隊は慢性的な募集難であり、縁故募集という隊員の息子や縁者に入隊を進めるしかない狭い社会である。特に艦隊勤務を中心とする海上自衛隊や戦闘機パイロットを中心に動く航空自衛隊と異なる陸上自衛隊は、その嫌いがあるように思う。要は法律や能力を越える人間関係で左右される平和な組織であると言える。陸上自衛隊が中東など日本から遠く離れた場所で活動する場合、その平和な縁故主義的な関係では生き残れないと気づく筈である。このような意味でも陸上自衛隊は、日本から遠く離れた地域で活動する組織にすべきだと思う。


現在の陸上自衛隊の姿を見ると、陸上自衛隊は、どの職場よりも安全な組織であり、もし戦争が起き都市部がミサイル攻撃や空襲で焼け野原になっても陸上自衛隊は山に隠れて生き残れるという感覚を持ち、息子を陸上自衛隊に送り込む親もいるかも知れない。


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