86話【レオマリス・ファーム2】
◇レオマリス・ファーム2◇
遅めの昼食を取りながら、サクラは考えていた。
(あたしの魔力が上がったのかな……それとも、
パンを
自分の身に最近起こった事と言えば。
(……《石》の世界……に居た事、くらいでしょ)
自分の存在に絶望して、逃げ出した先にいたのは。エドガーの母マリスだった。
彼女もまた、
人物の
サクラは、そのメルティナに確認してもらうのが手っ取り早いと考えて、パンを一気に
「……よし。とにかくこの件は持って帰ってから考えよう」
取り
「お
「いーじゃん。考えないって言ってんじゃないんだから!」
元々、異世界人同士で話し合いはしなければとは言ってはいたのだ。
だが、サクラが
だから話はなあなあになっていたのだが。
今は
「ローザさんが帰ってくるのも、もう
「それはそうだが」
あ、サクヤの
だがそれは大いにサクラ自身が理解している。
「――それはごめん」
「顔が
サクヤも自分の考えを持っているが、それを押し付ける気はない。
「まぁでも、能力の
「リザもすっごく強いよ……ああ見えてさ」
“魔王”であるフィルヴィーネは
今はその強さを
「なんにせよ、ローザさんが帰って来てからだね。あたしたちの話し合いは」
「だな。ではそれまでは……」
「うん」
「「野菜を育てよう!」」
一つは自分の為に。
一つは仲間の為に。
一つは世界の為に。
この野菜たちがこの世界でも育つ事が出来れば、食文化も変わってくるはずだ。
それを変えるのが自分だと
サクラにも、もう自分の世界の
◇
サクラは、仕上げに作った
「これで
「
「うん、野菜を食べちゃう動物ね。
メイリンは、サクラの言葉に
それはモンシアも同じで、
「……え?」
「あたしの言ってること、分かりますよね?」
苦笑いしながらも、聞いてみる。
サクヤですら、腕を組んでうんうんと
「――野菜を食う動物なんて、ここには
「そうね、
「いやいや、
日本では年々
そんな被害を受けないようにと考えて、サクラは
「「……」」
「えぇ……」
(ん?あれ……でも、そう言えば)
サクラは思い返す。この王都も少しは
そこで思い返すと、ある事に気付く。
(馬や豚、牛に羊……基本的に
その動物を探して、気付く。
「ね、ねぇメイリンさん……犬とか猫とか、いないの?」
「いぬ?……ねこ?」
メイリンは再度首を
「……うそぉ……」
「わたしが犬犬言っていた時、エミリア殿は知っている
サクヤは、よく自分を犬に
エドガーに
そんなサクヤの言葉には、サクラも聞き覚えがある。
「エミリアちゃん、自分を
正確には、ローザが言った言葉だ。
「でも、
相手はエミリアだった。
「だれが
「「不安だ……」」
二人は口を
それ以外にも、エドガーが
「エド君だったら、知らない物は知りたいって思うはずだから……犬と猫は知っているんじゃないかな、んで、最終的にローザさんが知っていて……メイリンさんたちが知らないって事は……」
この世界では、犬や猫は
「うわぁ……へこむ……」
「しかし、言葉は残っているではないか、
「確かにねぇ」
サクヤの
「ああ、ローザの
もしかして、実物を知らないで言葉を使っているのだろうか、この世界の人間は。
サクラもサクヤも疲れた顔で
「「そう、それ」」
「う~む。やはりわたしたちの世界とは
「まあ、《魔法》がある時点で異世界よね……
「確かに。ところでサクラ」
「ん?なによ?」
地味に
サクラが
「それは、立て札であるな。何のだ?」
「立て札……まあそうだね、
サクラが
「……れおまりす・ふぁむ?」
「【レオマリス・ファーム】ね。わざわざ
「おお、
サクラの世界の文字で、この世界の人間が読めない様に。
その
「これならば、
「そ。あとはコレを……よっと!!」
手作り感のある立て札を地面に突き立てる。
これで完成だ。
「毎日水やりに来ようね」
「毎日はやらないだろう、普通は」
「そうなの?」
「そうね、あげない日もあるわよ?水を少なくすれば甘みが増すものもあるから」
サクラは【スマホ】にメモしながら「なるほど」と
「うん。サクヤ、メイリンさん、そのままこっち見て!
言われるまま、サクヤとメイリンはサクラが
「はいっ!チーズ!」
「は?」
「え?」
カシャ!!
「ぬわっ!」
「きゃ!」
一瞬の
サクラは「オッケー」とご機嫌に言っていた。
「おいサクラ!何をしたのだ!?めめ、目がチカチカするではないか!」
「一瞬真っ白になったよ~」
「あはは、いいからいいから。ほらこれ、見てみて」
「ん?おお!」
「う~、目が……って、え!?」
サクラが見せる【スマホ】には、こちらをみるサクヤとメイリンが
サクヤは半目だが、メイリンは言われた通りに笑顔だった。
「これは見事な
「すご~い……これ、絵なの?」
「いやいや……写真だよ、そのまま写したの。あ~っと……」
もう一度、今度はモンシアも入れて写真を
サクラは操作側であり、サクラしか操作が出来ないので自分は
「これを、エド君に見せたいんだ」
写真には、
エドガーなら気付くかもしれない。
「なるほど……喜んでくれるといいな、
「うん。だね」
二人は笑い合って、今日の仕事を終えたのだった。
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