171話【星空の下に騒ぐ】
4章プロローグ【
◇―――――――――――――――――――――――――――――――――◇
◇星空の下に
暗くなった荒野の夜空に、ローザの炎弾が
フィルヴィーネが魔力で作り出した
一振りでローザが撃ちだした炎弾を全て叩き落したその
そのローザと、光になってチリチリと落下する火花を
「クックック――フハハハハハ!そんなものか!?【
「――ちょっ!!……へ、へん、変な名前で呼ばないでっ!何度も言っているでしょうっ!?」
その長ったらしい
「アッハッハッハァ!知らぬわっ、
ローザを
意表をついた見事な攻撃だったはずだが、フィルヴィーネは
「――そ、そんな……完全に裏を――あぁっ!!――あああぁぁあっ!」
完全に裏をかいた一撃だった。
それを防がれて、メルティナは
そして簡単に防がれ足を
異常な遠心力と
そしてぶつかる。
「……あうっ」
「――ぐ……メ、メルティナっ!?」
「クックック……アーッハッハッハッ!!!」
ローザとメルティナは
フィルヴィーネが
「……今までの戦いは手を抜いていたのね……!」
「――
倒れたまま
「……じゅ、17%……あれで……!?」
自分が負けた時と、やっとの思いで打ち負かした先程の戦闘、それが実力の17%だと知って、珍しくへこたれそうになるローザ。本当はその数値以下であるが。
しかしフィルヴィーネは。
「――なに、戦い方も
「――き、気にしてないわよっ!」
「アーッハッハッハッ。そうか、すまんすまん……
「――い、痛いです。ローザ」
「今の聞いていたでしょう……?」
「……ええ、まぁ……」
腹が立たないか。という事だろう。
「ワタシは……そういう感情はまだ……分かりません」
「そんなこと無いわ。
「――え……い、いつの間に」
メルティナは、自分の手をついていた地面を見る。
両手は地面の砂を思い切り
えぐり込まれるように
「
立ち上がったローザを、メルティナは座りながら
ローザのその目は
怒りの炎、その言葉が
そして、自分の強く
「怒り……」
「そう、私も……一度の勝利で浮かれる
ローザの楽しそうな笑みに合わせるように、メルティナも立ち上がる。
「――では、お供します……ワタシも、どうやら負けは好きではないようなので」
「
二人は息を
「クックック……良いぞ良いぞ、それでこそ……人の【勇者】と
◇
【
サクヤとサクラ。二人は、サクラが
「……すっごいわね、あのドエロい人……」
「エロ……そう言う言い方はやめた方がよいのではないか?サクラよ……」
最近覚えた言葉。エロ。
サクヤは少しだけ
サクサクっ――と、缶ジュースと一緒に取り出したマカロンを口に運んで、
先程のローザとの会話から、
ローザとメルティナは、届きそうで届かない場所に手を伸ばすように、何度もフィルヴィーネに
ローザとメルティナが届かない勝利にヤキモキしている中、サクラとサクヤの二人は
「いや~、だってさ……どう見ても女王様でしょ……あれ」
SMの女王様のような
「女王なのは確かなのだろう?……ではいいではないか、好きにさせたら」
“魔王”=女王と言う発想で、サクヤは
しかしサクラの言う女王様は、サクヤの発想とは全然
「だから~!あんな服着てエド君の横に居られてみなさいよ……バカ【忍者】!」
「ん?……――はっ!……そ、そういうことか……」
サクヤが
先程の様な
反対の手には
「――うむむ……!いかんっ……絶対にダメだ」
「でしょぉ!?」
腕組みして
「あの
ローザは、上着を脱いでビキニスタイルの
何と比べる訳ではないが、誰かさんにないものが物凄く
サクヤは自分の胸に手を当てる。
――ストンと落ちる――
「……」
「残念ね」
「……くぅ。
「何がよ」
「わたしはこうもぺったんなのに、どうしてお前はそう胸が成長しているのだ!」
「――いや、そんなことあたしに言われても……ふっ」
どこを見なくても、サクラが何を笑ったかは分かるはずだ。
同じ
そんな二人の
「――うがぁぁっ!笑うなぁぁっ……そうであろう!エミリア殿ぉぉぉぉ!!」
急に名を叫ばれて、きっとクシャミをしているだろうエドガーの幼馴染。
そんなサクヤの悲痛な
エドガー・レオマリスが、ようやく帰ってきた。
「――何を言ってるんだい……二人共。あっちまで聞こえて来てるよ?」
「――ぬわぁっ!!
「あ、おかえりエド君」
サクヤは
まだ初日だし、仕方はないが。
「ただいま……――うわぁ、まだやってたんだね。あの三人」
エドガーは、両手に持った
「それにしても、凄いねこれ……サクラが?」
自分で
【
「え……?う、うん。あたしだけど……よく分かったね」
「うん。魔力がね……サクラの色に見えたから」
「――色?」
エドガーは、この【
魔力の色。それはオーラに近いものだ。
ローザなら赤く、メルティナなら緑、サクラは白く、サクヤは黒い。
フィルヴィーネは紫だ。
「そうだよ。魔力の色……普段は見えないけど、《魔法》に関係していれば……少し見えるんだ……――あ、終わったみたいだね」
「ほ、本当ですね!
サクラに魔力の色の説明をしていると――ちゅど~ん!と
恐らく、ローザに持たせたカメラが壊れたのだろう。
つまりは終了、フィルヴィーネがエドガーの
その
「は~、スッキリした……」
フィルヴィーネが近くまで
しっかりと、両肩にはローザとメルティナが
まるで
「お、お疲れ様です……フィルヴィーネさん。大丈夫ですか?」
「クックック……
(あ……いや、ローザとメルティナが……なんだけど、まぁいいか)
エドガーは「ははは……」と
フィルヴィーネは、その
どうやら、二人は
「――では、約束通り話をしようか……
異世界人二人を一人で、長時間相手にしていたにもかかわらず。
疲れを見せない“魔王”フィルヴィーネ・サタナキアは、こうして異世界一日目を終えたのだった。
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