46話【ぐだぐだ報告会】
◇ぐだぐだ報告会◇
~【
待ち合わせとなっている場所で、三人の少女がいかにも「待ち合わせしています」と言う感じを
「エド達おっそいなぁ」
「だな、エミリア殿」
今日の暑い
その暑さにげんなりしながら、サクヤとエミリアは
「……上手く買えるかな」
エミリアは、初めて子供をお使いに出す親の
「親の使い
サクヤもまたローザを見ているが。
その
朝からのたった
かく言うサクヤも、元の世界ではローザと似たような
簡単に言えば、コミュニケーションが苦手だった。
「――あっ。買い終わったみたい」
「うむ。そのようだな……」
三つのカップを持ったローザが、二人の元へやって来る。
「待たせたわね。見なさい
自信満々に、エミリアとサクヤにカップを渡すローザ。
「うん。偉い偉い、ありがと」
「感謝する、ローザ殿」
二人はカップを受け取り、
「エミリア……なんか馬鹿にしてない?」
「してないしてない……ほら、早く食べないと
「……
そう言って、ローザはアイスを口に運ぶ。
「――んっ~!――おいっしい~。やっぱり、この世界の食べ物は最高ねっ!」
子供の様にはしゃぎながらアイスに大喜びするローザにエミリアは。
(うん。あながち間違いじゃ無かった……あと、この子も)
エミリアは、もう一人の子供の様な人物を見やる。
「……な、何という
「……」
サクラが居れば「普通のアイスじゃん」と言うだろう。
エミリアにそのような事を言える
ただドン引きしながら、二人の異世界人を見ることしか出来なかった。
◇
「なに
合流したエドガー達だったが、いの一番に
「らっておいひいものはひははがないれひょう」
スプーンを
「スプーンを
「……はい。すみません」
「す、すまぬ」
スプーンを離し、サクラの言うままに
「な、何もそこまで言う事はあるまいサクラよ、こんなに
そう言いながら、半分
「なにを――んむっ」
「どうだ?
無理やり食べさせられたサクラは、口の
「……普通のミルクアイスじゃない」
「「――!!」」
このアイスに想像以上の感動をしていたローザとサクヤは、サクラのこの言葉で
「あの……もうそろそろいいかな?」
「あ、ごめんエド君……つい」
ガックリと
合流の本来の目的である、各区画の
「エド、そっちはどうだったの?……ってなにマークスさん。ちょっと怖い」
「――別に、何でもねぇよ!」
マークスが
その理由をエミリアは全く
「――ゴホンっ……で、僕たちの区画
話を進めようと、エドガーは
「……
これまでのエドガーは、少なくらずの人数としか交流せず、ましてや大人数で行動するなど、騎士学校時代も無かった。
それからすれば、エドガーにとってこの七人での行動は、大人数なのだろう。
「
疲れた顔をしたサクヤが、申し訳なさそうに
「そうね。エドガー早くして。こっちの説明はエミリアがするから」
「ええ~ぇ――だっ!――痛ったぁ!」
「――いでっ!!」
「ぐぅ……痛てぇのは俺だっつの」
それぞれがバラバラでまとまりがない中、エドガーは説明を始めた。
誰も座っていない、
遠目から見たら変な
三角に並べられた椅子の一つに座るエドガーは。
「じゃあ、始めるよ……」
「……ええ」
「うん」
「……承知」
「ああ」
「おう」
「オッケー」
と、完全にバラバラな返事で、やっと報告が始まった。
「まず、僕たちが回った第二・第三区画だけど……怪しい人物の目撃情報は無かったよ……ただ」
「……ただ、どうしたの?」
エミリアが、言いにくそうに
「うん。人物じゃあないんだけど……
エドガーは、この情報を聞き出したサクラに不安げな
「――あ。じゃああたしが……」
サクラは立ち上がり、自然とエドガーの隣に
「「……」」
「おいサクラ。
ローザもエミリアも説明を聞くために我慢したのだが、サクヤは
そもそも話を聞いていたかも
「いや、だって一緒に行動してたんだし、基本的にあたしが聞き込みしてたんだし。隣にいたって不思議じゃないでしょ……ね、エド君」
「そ、そうだね……助かったよ。本当に、あはは……」
(おい、アルベール……エドガーやばいな、背中をぶっ刺される未来が見えるぜ)
(やめてくださいよマークスさん……マジで笑えませんから)
小声で話す男二人は、エドガーの
「そこ、いいですか?続けますけど」
「あ、わりぃ」
サクラに注意されて、
マークスはそのままだ。
「
牧場は、アルベールがエドガーに取れたての牛乳を差し入れた(1章)場所、【ロンメイ牧場】だ。
釣り堀は、第二・第三区画の
「これは日本と同じですね」と、一人で納得しているサクラ。
ふれあい広場は、子供達が遊ぶ公園に近く、【月光の森】のように広くはないが、動物と
「牧場・釣り堀・ふれあい広場……ね」
「もしかして……
「――な、なんで分かったんですか!?」
「今言おうとしたのにっ!」とサクラが
本人に自覚はないが、エドガーに
「……エミリア」
ローザサイドの聞き込み役、エミリアにローザは
「――あ~、はいはい……あっ、そうだ」
エミリアは説明しようとしたが、サクラがしたことをそのままそっくり丸パクリする。
「――エミリアちゃん、ここに来なくてもよくない?」
「い~でしょ別にっ、報告しないとね!」
エドガーとサクラの間に、強引に割り込んで入る。
お尻をグリグリとねじ込んで来た。
「ちょっ!エミリアちゃん、恥ずかしくないのっ!?」
実の妹の
「続けま~す!」
ルンルンとした表情で、エドガーの隣を
「動物の
何事もなかったように
◇
エミリア達、第五・第六区画のグループでは、主にエミリアが聞き込みをしていた。
持ち前の明るさとコミュニケーション能力の高さで、基本的にノーと言わせないエミリアの話術は、ローザもサクヤも
今のエミリアを見て、
<なあローザ殿……エミリア殿は、毎回こうなのだろうか?>
<さぁ……少なくとも、私が“召喚”されてからのエミリアはこうね>
<そ、そうなのか……なんだか疲れるな……>
【心通話】で会話をするローザとサクヤ。
それが、更に新たなライバルが増えたことで
「ローザ聞いてる?」
「……聞いてるわよ。続けなさい」
そのエミリアに問われ、ムッとしながらも続きを
「だから、【
「なんで動物が……?」
エドガーは考えるが、思うような答えは出てこなかった。
「そもそも関係あんのかよ。お前らが
「リューネは
マークスは、動物の行方不明と
「分からないですね……ローザは?」
「そうね……エドガーと同じよ。
「そうだよな……動物が行方不明になるなんて、正直
アルベールが言う。
実際その通りだろう。特に【
そのため、何かしらの
更には【
「では兄上殿は、動物の情報は無意味であったと
「そうとは言い切れないが……そうだな、俺は関係ないと思う」
サクヤの問いに、兄上殿ことアルベールが返す。
サクヤも何とか会話に参加出来ていたようで、エドガーは内心ほっとした。
「んじゃあどうする?……俺はそろそろ帰りてぇんだが」
「……そうですね、お昼も近いしちょうどいいかも知れません……そこで馬車を探して帰りましょうか」
「さんせ~い」
「確かに腹減ったな」
「……」
完全に腹ペコモードのロヴァルト兄妹。
そして、何かを考えこむように
「ローザ……?行きま――じゃなくて、行こう」
「――ええ、そうね」
(【
そうして、全員で馬車の待機所に向かった。
数日後、このローザの考えが現実になる事を、今は誰も知る事はない。
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