ラブコメ主人公に憧れる少年は女子高校生と話せない

@yusha-mk

ラブコメ主人公に憧れる少年

ラブコメの主人公になりたい。


世を生きる男共の脳が正常ならば、誰もが一度は

思うであろう。

それは、避けては通れない道なのである。



今月、高校に入学した俺、亀頭友きとうゆうも今まさに超正常運転中である。

この超とは、普通の人よりも思いが強いということだ。

つまるところ、ラブコメが大好きなオタクという

ことである。


俺は、なにかとこのオタクという称号に誇りを持っている。

中学校の頃よくバカにされたものだが・・・・・・

まぁ、そんなことは知らん。

俺は、家に帰って自分の部屋で推しキャラ達に

囲まれることで幸せを感じることができるからな。



この推しの女子キャラ達に囲まれる感覚は、まさに憧れのラブコメ主人公のようだ。



そんな俺は、学校では全くといっていいほど女子と

話さない。

唯一話すことがあるのは、授業中のペアワークでの半強制的なものだ。




「別に学校で女子と話さなくたって、いいじゃねーか。なぁ、木部!」


「いやー、せっかくの高校生だぜ。JKってやつと話したいとか思わないのかよ君はさっ。」


「思わないな、俺はこの生活で幸せだ。この部屋だったら死んでもいい。」


「だからさー、君は本物の女の子というものを知らないんだろ。」


「何言ってんだよ。俺はそれなりに知ってるっつーーの。」


「じゃあ、今度君のこの家に女の子を誘って合コンでもしようか。」


「はっつ!?なんでそうなるんだよ・・・・・・」


「いいじゃないか、君は一人暮らしなんだしさ。

まっ、そいうことだから。よろしく頼むよ!」


「おっ、お、おい待てよ木部・・・・・・」


ガチャン。勢いよく玄関の扉が閉まる。



ったく、本当にあいつは。

無駄にイケメンなことといい、あの言葉遣いといい余計に腹が立つ。



木部颯斗きべはやとという男とは、小学5年の頃にあったキャンプで同じ班になって時に、当時好きだった漫画が同じという理由で話し始めた。

コイツは、俺の人生において数少ない友達の一人である。


にしても、我ながらよくもあんな理由で話し出した奴と今まで仲良くいるとは、

我ながら感心だな・・・・・・



って、感心してる場合じゃねーーよ。

木部アイツさっき俺の部屋で合コンするとかなんとかいってたよな。


早く止めなければ・・・・・・


とりあえず電話してみるか。


コール音が響く。

しかし出ない。そこで俺は察した。

これは、終わったな、と。



というのも木部の特性上一度言い出したことで、その場ですぐに否定しなかったものは、なかなか曲げない。



やりやがったな。


俺は高ぶる気持ちを抑え込めず、思わず片手に持っていたスマホをベッドに投げる。



はぁ。ほんとアイツの身勝手なとこは許せねぇ。


もういい。どうとでもなれ。


俺はオタクとして誇りを持っている。

そして、相手は女子どもだ。


なるようになるさ。きっと・・・・・・



そう、俺は決して、女子どもに興味・関心・下心というものはない・・・・・・

はずだからなぁー。はっはっは。はぁー。


もうこんなこと考えていても仕方ないよな。よしっ、寝よう!


心配ないさーーーーーー



勢いよくベッドにダイブすると、この日は疲れていたのか、すぐに寝てしまった。






そして、朝になって気づいたのだが、どうやら俺はこの日電気をつけたまま寝てしまっていたようだ。


いつもはしっかり消しているのにな・・・・・・



この日の朝、窓枠の先に広がる風景はなんだかいつもより妙にに明るく見えた。



ってこれ、なんか予知してるみてえじゃねえかーー!?






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