腹の底でおよぐ魚

遺言の詩


きみの腹の底で魚が泳いでいますね。

跳ねて回ってぎょろりと睨む水面下、同じリズムで脈打つ胴体。子宮から出てきて最初に発したことばは、出来ることならいつまでも覚えていてください。昨日夢で見たあれは、かみさまだったのだろうか。だとすればきみの想像は現実になったということだ。おめでとう!おめでとう。ぱしゃぱしゃと胃液がなみをうつ、もうすぐおかあさんが迎えに来るよ、ここでしばらく待っていてね。

(きっときみがお家へ帰るころには、わたしは星になっています。気が向いたら探し出してね。一等星には、なれないとおもいます。街灯と見紛うかもしれませんが、どうしようもありません。それから、魚に餌をやるのを忘れないでね。)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る