味苦
あい
ひとりめ
食べたい。
首に噛み付いて、皮を噛みちぎって、生臭い鉄の臭いを嗅ぎながら、筋肉の流れを舌でなぞりたい。
舌を筋肉の隙間にねじ込んで、骨をおしつけるように擦りながら舐めていたい。
よだれとアノコの血が混ざって透けてて綺麗。
全部吸い出して飲み干したい。
唇を親指でゆっくり撫でて、爪を立て唇の薄い膜を切る。
中から血が垂れるのも気にせず、爪を奥に入れてグリグリと掻き混ぜたい。
膜を横にすくうように数本の針を唇に刺しておこう。
軽くキスをした。
針が冷たく、余計アノコの唇が熱くかんじた。
右手で上顎を持って、左手で下顎を持って、ゴキッっと音が響くまで口を開こう。
アノコの口の端は裂けているかも。
裂けてても可愛い。
ブチブチと破れる音が聞こえるだろうか。
これで舌が舐めやすくなった。
アノコの舌と私の舌を擦り合わせて、舌先を甘噛みした。
少し血が滲んでしまって、中指で舌をなぞる。
舌先から真ん中奥へと指を滑らせ、ゆびのはらが熱くなってきたのを感じた。
唾液で滑り、どんどん奥へ入って言った。
喉仏辺りまでしか入らなかった。
指先を動かし、爪で引っ掻いて遊んだ。
あ、吐いちゃダメだよ。
我慢して。
満足したら、ゆっくりと指を引き抜いた。
私の手からアノコのよだれが糸を引いて垂れた。
自分の手が愛おしく見えるほど。
思わず舐めてしまった。
後ろを向いてもらった。
うなじ。
舐めたい。
さっき爪で引っ掻いたあたりの所はどこだろう。
襟足、背骨がはじまって、この辺かな。
上から2個目と3個目の骨の間に指を入れて、思いっきりこじ開けた。
隙間に右手をねじ込み、少し動かして、引き抜いた。
これで奥まで広がった。
覗き込むと、さっき爪で引っ掻いた所の膜が伸びて、少し傷がついていた。
可愛い。
眼球にキスをした。
黒目と白目の境い目の所を舌で少しなぞった。本当はそのままかぶりつきたいけれど、それは勿体無い。
薬指をゆっくり瞼と眼球の隙間に入れた。
眼球が濡れていて、滑りやすかった。
ああ、あとは何だったかなあ。
一生愛していける自信がある。
永遠に。
愛おしい君。
味苦 あい @ai16wosiranai
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