第5話

 海。私は歩くその人についていく。まだ薄暗いけど、砂が白いことはわかる。ってことは多分、海も綺麗。もう少し時間が経ったら、よく見えるかな。


 静かだった。あるのは私達と、私達が砂を踏む音だけ。神秘と化した波の音は聞こえない。この世界の汚いものが何ひとつない、まるで楽園。そこで今、私達は歩いている。


 すごく心地が良かった。


 その人は足を止めて、そこに座った。私も座る。隣に座ってみた。広がる海、次第に朝陽が昇る。


 綺麗だった。緩やかに燃える、朝焼け。私達だけの、朝焼け。


「きれい…。」


 私から無意識に出た声。


「きれいだな。」


 その人も無意識かのような、自然な声。


「ユウスケ。」

「え?」

「俺の名前。」

「ユウスケ…。」

「お前は?」

「私は、ルカ…。」

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