Merry Christmas~聖夜に想いを込めて~

◆12月3日の青山くん。

　12月3日、火曜日。

　いつも通り登校して、いつも通り授業を受けて、いつも通りの昼休み。次の授業は体育だから、さっさと着替えて体育館へ向かおうと教室を出たら廊下で相川に会った。

　女子は更衣室で着替えてるから、そのまま体育館に直行してるはずなのに。こんなところで何してるんだろう。

「相川？」

「え、あ。青山くん」

「どうしたんだ？　体育、遅れるぞ」

「うん、ちょっと忘れ物しちゃって取りに行ってたの」

「そっか」

　俺らは並んで体育館へと向かった。

　なんか、偶然にも一緒に体育館へ行くことになってしまった。ヤッベ、どうしよう。寒いからギリギリまで更衣室に残ってて良かった。おかげでクラスの奴はいないし、体育館まで二人っきりだ。

　どうしよう、何か喋った方が良いかな。でも何を？　でも、このまま無言ってのも居心地悪い。何か話題、話題話題。

「クリスマス会、プレゼント交換もするらしいな」

「え、そうなの？」

「あれ、聞いてなかったのか？　確か500円以内のものを用意するとかって……」

　相川は口元に指を添えて、考える仕草をした。

　そうだ、さりげなく聞いてみようかな。どんなものが欲しいのか聞ければ、それを参考にプレゼントを買いに行ける。

　さりげなく、さりげなくだぞ。

「相川は、クリスマスプレゼントって何か欲しいものある？」

「え？」

「あーいや。ほら、自分のプレゼントが誰に当たるか分からないだろ？　だからさ、女子が貰っても困らないものが良いかなって」

　大丈夫かな、変な言い訳みたいに聞こえたりしなかったかな。相川は何か少し困ったような顔をしながら、また考えてる。

「そうだなぁ……クリスマスなんだし、なんかお菓子とか？」

「お菓子か……確かにそれなら男でも女でも困らないよな」

「うん。私もそうだけど、女の子は甘いもの好きだから、喜ぶんじゃないかな。今、クリスマス限定のものとかいっぱいあるし」

「ああー、なるほど。例えば相川なら何が好きなんだ？」

「お菓子？」

「うん」

「私はチョコ系のものが一番好きかな？　よく勉強の合間とかに食べてるんだ」

　そうか、チョコか。それは良いこと聞いた。次の休みにデパートかどっか行って、色々見て来よう。誰か誘っていこうかな。俺一人で行くより、他の奴の意見とか聞けた方が良いだろ。

　やっぱり芦原あたりがいいかな。あのリア充に訊けば問題ないだろ。

「あの……」

「うん？」

　相川が目を泳がせながら声を掛けてきた。どうしたんだろう。

「お、男の子は何貰ったら嬉しいの？」

「え？」

「わ、私も参考までに聞いておこうかなって。青山くんだったらクリスマスに何が欲しい？」

　そういうことか。

　いや、もしかして誰か好きな男子とかにあげるんじゃないよな？　まさか彼氏とか？

「そ、そうだな……俺だったら、アクセとか好きだけど……それじゃあ高くなるもんな」

「そっか、シルバーアクセとか似合いそうだよね」

「そうか？」

　そう言われると嬉しいかも。

　相川は女の子らしいネックレスとか似合いそうだよな。

　お菓子か。なんか可愛いラッピングとかされたの渡したら喜ぶかな。