学園の"アイドル"が元カノだった件〜好きな人ができたので、関わらないようにしたいのだが〜

緒方 桃

序章

プロローグ 翼にとっての『日咲みのり』

『みんな、ありがとー!!!』


 家電量販店のテレビ売り場。テレビ画面に映る一人のアイドルの姿に、俺は釘付けになっていた。


 日咲ひさき みのり──現代の一般常識と言っても過言ではないほど有名な、アイドル界に君臨する"神"である。

 笑顔は真夏の太陽のように眩しくて、年中いつでもどこでも、向日葵ひまわりの花を咲かせられる力を持っている、なんて大袈裟なことを言われている程。

 それにスタイルもダンスも抜群。歌声も可愛く、アイドルらしい。

 それ故、彼女に憧れ、彼女のようになりたいと願う女の子もいるはず。

 また彼女を応援する者は皆、彼女に希望を与えられるのだろう。


「やっぱ、可愛いなぁ……」


 テレビに映る彼女の姿に、俺はすっかり見惚れていた。



 春から高校二年生になる俺、藍川翼あいかわつばさには付き合ってる恋人がいた。

 中学の頃に半年ほど付き合っていた──いわゆる元カノだ。


 そんな俺の元カノは毒舌で凶暴で根暗で束縛が激しいところがあって、素直じゃない。

 あと、プライドが高いから……時折ドジでポンコツな一面を見せても、無理に威張ったりする。


 要するに、ちっとも可愛げが無いのだ!!


 だからだろうか、俺はアイツと別れてから、いつしか求めてしまっていたのだ。

 明るく素直で優しくて、太陽のような眩しい笑顔を向けてくれる──トップアイドル日咲みのりのような存在を。


 俺は強く願った。

 もし二度目の恋があるならば、今度は日咲みのりのような女の子と付き合いたい、と。


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