短くすればUターン、長くすればSターン
@r_417
短くすればUターン、長くすればSターン
「まずは前提、それは私の体で起こることです」
そう言って、彼女・リサは得意満面な笑顔を浮かべている。
「それでは、問題です! 短くすればUターン、長くすればSターン。これって、何のこと?」
さて、リサの体で起こることが前提ということなので、まずはリサという人物の解説をしよう。
リサは、俺と一緒の進学校に通う高校三年生。
俺は理系を専攻しているが、リサは文系を専攻している。
故に、クラスは一緒になったことはないが、リサはどんな退屈な授業でも真面目に聞く生徒だと専らの評判である。
進学校に真面目な生徒というワードが加わると、敬遠されるのではないかと思われがちだが、リサは真面目な生徒ではあるが、真面目な身なりというわけでもなく……。校則自由な学校だから問題は一切ないのだが、金髪に大きなロングウェーブにピアスも少々と、オシャレもガッツリ楽しむタイプであり、現況に対する真面目な姿勢と、容姿に対するギャップが良い意味で、皆から注目を集めている。
俺自身、特にオシャレに頓着するタイプではないので、リサの凄さはイマイチよく分かっていないのだが、クラスメイトの女子によると、身近な素材や手頃な価格帯で見栄えのするオシャレが出来る能力はかなりのものだと絶賛している。
確かにリサが大金を使ってオシャレをしない点や、派手とはいえリサに良く似合う格好ばかりピンポイントに決めてくる才能は素晴らしいと思うし、決してルールや規則を違反することなく、他人に不快感を与えない点も尊敬できる。
さてさて、話が大きく脱線したが、そんなリサは文系クラスのトップ成績を維持する賢い頭脳を有している上に、オシャレを楽しむ遊び心も存分に持ち合わせている。
つまり、単純な謎かけに見せかけ、頭脳戦……もとい教養問題の可能性もあれば、洒落っ気たっぷりなユーモア問題の可能性も十分考えられるというわけだ。
最もリサが敢えてこんなことを俺にふっかけてくるとなると、後者である可能性が極めて高いと思うけど……。そんなことを思いつつ、リサの瞳をじっと見つめてみる。
自分の行動に自信を持っているリサは、いつだって堂々としている。それは問題を投げかけた時も然り……。
「よし、分かった」
いつもと変わらぬ誇り高いリサの姿を見て、結論が出る。
「それはリサの髪の毛だね」
「え……」
「リサの髪の毛、天然パーマだよね? 今みたいな長めの髪型だとSターンのウェーブになってるけど、おそらく短い髪型になるとUターンを決めるんじゃないかな?」
「あー、悔しい。正解、正解だよー!! てか、タカシくん。私の髪が天然パーマとか分かるの!?」
「え? それ、どういう意味?」
「んー。タカシくん、美容院でパーマかけたパーマも天然パーマも区別つきそうにないもん」
「あはは、確かに。そういうの見極めるの苦手かもね」
「だったら、尚更……」
「でも、リサのこと。知ってたら、分かるよ。そのくらい」
「え? それって、どういう……」
リサのこと、知ってたら分かるよ。
俺自身、特にオシャレに頓着するタイプではないけど、リサが大金を使ってオシャレをしないことうあ、身近な素材や手頃な価格帯で見栄えのするオシャレが出来る才能が秀でていることを知っていれば、自ずと……ね。
【Fin.】
短くすればUターン、長くすればSターン @r_417
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