第8話
洞穴近くまで戻ってきた俺は、アイアン魔鉱石を拾い、クワを作製する。
出来上がったクワで地面を掘ってみる。
力はほとんどいらず、さくっといい感じに掘れた。
これなら、なんとかなりそうだ。
途中手に入れた種十個を植えられるように、大地を耕す。
大地を耕すのは非常に大変な作業と聞いたが、開墾術のおかげか疲労はほとんど感じられない。
栽培スキルのおかげで、どのようにやればいいかもわかる。
これがスキルか。
非常に便利だな。
大地を耕し終えた俺は、それから土に種を植える。
……お互いの成長を邪魔しないように等間隔でだ。
それから、水魔法を発動し、水をやる。
モモンの実の成長には、魔力を含んだ水が不可欠らしい。
逆に言えば、それさえあれば良いらしい。
だから、水魔法の獲得はちょうどよかった。
合計十か所に種を植えられた。
俺はそれに満足してから、夕食のウルフを仕留め、肉を腹に入れた。
川で軽く体の汚れを落とし、それから洞穴へと向かう。
早速レベルアップした土魔法を使い、洞穴の入り口を守るように土を重ねる。
空気の通り道としていくらか残しつつ、入り口を塞ぐほどまでに土を重ねた。
……昨日に比べ、一度に出せる土魔法の量が変わったようだ。
それでも、まだ戦闘で使えるほどじゃないな。
というかこの土魔法を使えば、どこにでも畑を作れるようにもなるのだろうか?
すべてのスキルが、少しずつ成長していく。
今後を考えていると、ワクワク感があるな。
〇
それから五日ほどかけ、周囲の探索をしていった。
……しかし、これといって新しい成果はない。
新しい魔物としてスライムを発見したが、こいつが倒しにくく、随分と時間がかかったくらいだ。
ただ、おかげで何とか5000ポイントを獲得できた。
……ここまで苦労したな。
問題があるとすれば、これで周囲にいた魔物を25体すべて討伐してしまった。
新しい魔物を発見しないと、ポイントが手に入らない。
ガチャも回せない……。
……そろそろ、新しい拠点を探して大規模な移動を試みたほうがいいのかもしれない。
洞穴へと戻ってきた俺は……ガチャを回す前に、庭でできていたモモンの実を見た。
茎が大きく伸び、人の頭ほどの実が五つほどついていた。
種一つからおおよそ4、5つのモモンの実、か。
……想像以上に実が取れるな。
栽培スキルのおかげもあって、このペースで確保できるなら、無理に戦闘をしなくても生活はできるかもしれない。
……とはいえ、まだ確実に安定しているわけでもないからな。
今は春だからいいが、今後の季節次第では今のままでは生活が難しい。
特に冬だ。この状態で冬を迎えたら、まず考えられるのは凍死だ。
そこで魔物に襲われたら大変だ。
季節が変化すれば生態系も多少は変わるかもしれない。
より強い魔物が出現するかもしれない。
そのためにも、少しずつ強くなる手段を見極めていかないといけないな。
とはいえ、今はこの自分で育てたモモンの実を一口頂こうか。
かぶりつく。柔らかい!
なにより……うまい! 野生のモモンの実よりもうまいかもしれない!
栽培スキルレベル1でこれなのか……。レベルがさらに上がれば、もっとうまいものができるかもしれない!
やはり、もっと魔物を倒してポイントを稼がないといけないな。
それから俺は、ガチャを回すため、洞穴へと入った。
ガチャ画面で確認した5000ポイント。
……これがひとまず現状稼げるだけのポイントだ。
良いスキルが出てくれることを祈るしかない。
いつもの如く神に祈る。こっちは生活がかかっているんだ。そんな気持ちとともに十一回ガチャのボタンを押した。
と、宝箱は金色に光を放つ。
それから出現したのは、銅色が4つ、銀色が3つ、金色が3つ、虹色が1つだ。
……もしかして、この十一回ガチャって虹色が絶対1つは出るようになっているのだろうか?
そんなことを考えながら、まずは銅色の結果を確認する。
魔力強化 レベル1
耐久力強化 レベル1
器用強化 レベル1
力強化 レベル1
……まあ、ここはそこまで意識する必要はない。
重要なのは次からだ。
特に銀色は、生活を支えるスキルが多いからな。
銀色のスキル結果を確認する。
格闘術 レベル1
料理術 レベル1
鍛冶術 レベル1
どれも初めてのスキルだな。
格闘術から調べていこうか。
格闘術
無手での攻撃を強化する。また、耐久力もあがる。
……なるほどな。これがあれば、もしかしたら武器を使わずの戦闘もそれなりにできるようになるかもしれない。
剣術、短剣術と比較すると、幅広い場面で活躍できるので、このスキルは嬉しいかも。
次に俺は料理術を調べる。
料理術
料理に関する知識を獲得する。また、調味料などの料理の基礎を作るのに必要なものを製造できるようになる。
……なるほどっ。つまりこれがあれば地上で手に入るような調味料を作れるようになるのか!
塩、胡椒、ここ最近では海外から輸入された醤油などもあったか。調味料というのはスパイス的なものも作れるのだろうか?
ここでの生活は食くらいしか楽しみがないからな。
どれだけ作れるかはまたあとで確認だな。
今はガチャの結果を確認していかないと。
次に調べるのは鍛冶術だ。
鍛冶術
武器、防具、その他細かなものの製造が可能になる。また武器、防具の打ち直しなどを行える。
……なるほど。
鍛冶術を用いてさっそく手元の剣を見る。
剣 耐久値 20/100
……かなり剣が疲労してしまっているようだ。
それもそうだよな。砥石などはないため、どうしようもなかった。
ただ、鍛冶術があれば今後は問題がなくなるのではないだろうか?
とりあえず、この剣はアイアン魔鉱石を使えば、耐久値の回復ができるようだ。
明日はひとまず、アイアン魔鉱石を探すところから始めないとだな。
さて、ここまででかなり満足していたが、まだ金色と虹色が残っている。
金色を確認する。
水魔法 レベル1
火魔法 レベル1
風魔法 レベル1
風魔法は新しいな。……ただ、現状風魔法の使い道が思いつかない。
……服とか乾かすために使えるだろうか?
そんな程度の認識だった。
とりあえず、魔法はレベルアップしていけば戦闘でも使えるようになるからな。
最後は虹色だ。
俺は祈るようにそれを眺めていると、
薬師 レベル1
で、出た!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます