第5話 作戦

「じゃじゃん! 伊月に私のことを思い出してもらう作戦を立てました! みてみて~」


 私はバックの中から一枚の大きな紙を取り出す。


「あ、懐かしい。まだ使っててくれたんだ」


 りんはそう言って私のバックを見る。


「もちろんだよ! 親友からもらった宝物は大事にしなくちゃ!」


 りんは目を見開く。


 けれどそれは一瞬で。


 すぐにいつもの顔に戻り優しく微笑んでくれた。


 え、っと。


 今の反応は何?


 私の言ったこと、そんなに驚かれることかなぁ。


 首を傾げつつも本題に戻る。


「もうすぐクリスマスでしょ。子供のころはりんと伊月と私とお母さんたちでクリスマスパーティーをやったじゃん?」


「瑠香の家でね」


 りんが懐かしそうに目を細める。


「だから、今年もみんなでクリスマスパーティーをやったらいいんじゃないかなって! どうかな?」


 りんが少し固まった。


 私はその理由がわかった気がして慌てる。


「あ、お母さんたちは呼ばなくていいよ!! 3人でやろうよ!」


 さすがにこの年にもなって親と一緒に祝うとか恥ずかしすぎるもんね。


 うんうん、と勝手に頷くけれど、りんは微妙な反応しかしなくて。


 あれ?


 私が思ったのと違う理由で固まったの?


「りん?」


「あ、違うの、何でもない! いい案だと思うよ!」


 ほめてもらえたことに嬉しくなる。


「へへへ、そうかな? きっとこれでまた仲良しになれるね!」


「瑠香、すぐに連絡したほうがいいんじゃない? もう予定入っちゃってるかも、だし」


「あ、そうだね! 連絡する!」

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