喉に溜まる乾いた空気が…

サクラチル

第1話 賑やかな晩餐

気が付くとふと周りを見回す自分に驚く。


まるで、


樹海の中で立ち尽くし空を仰いでいる。


足元は嫌に硬くて両足の裏が痛い。


不愛想で強面の出来損ないのアスファルト。


西に傾き始めた不出来な光の球はまだ高く。


あからさまにやる気の欠けらも無さそうな、


のっぺらぼうの仮面被ってそっぽ向いてる。


「楽しいね」


「他愛無い時間が吹き付けて」


「昨日よりかは優しくとかない?」


「どっかの誰かのご機嫌が少しは良いらしい」


「彼らは右手にナイフを握ってる」


「楽しいね」


「今から料理とかするんだって」


「別に食べるためとかじゃないんだけど」


「お肉はとりあえず」


「切ったり刺したりするものらしい」


「だってそのままじゃ」


「広場の食卓には載せられないじゃない」


「別に食べたり飲んだりする気はなくて」


「漆黒の布に覆われたその食卓に」


飾りたいんだって。


分かんないけど。


じゃないと、


今日のお芝居が始められないんだって。


言ってた誰かいや皆ほとんどみんなが。


今夜の夕食時、


眺めるんだって普通とかの大勢の人たちが。


何故かって?


そりゃそうだよ、


分かってるじゃない言うためだよ。


「今日もいちにち楽しかったね」


って。

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