なんでお前ら、俺のこと好きになるんだよ!?
みーわん
第1章 俺とアイツらの幸せ
1-1 オタサーの姫コスプレイヤーVSクソビッチギャル格闘ゲーマー
俺が必ず、アイツらを幸せにしてみせる。
俺の名は「
そこら辺の冴えない陰キャキモオタ男子大学生だ。
ある時から漫画やアニメやゲーム、ライトノベルの美少女キャラにドハマリしてしまい、自分でもそういうキャラやストーリーを作りたいと考え、日々イラストやノベルを描(書)き、自分の作品をネット上のイラスト投稿サイト「ピクシル」や、小説投稿サイト「ノベルライターになろう」にアップし、それをSNS「フミッター」で告知している。
その代償として他の学生、特に所謂「陽キャリア充パリピ」に分類されるような奴らと仲良くできず、この大学に入ってからも俺は他の大学生と距離をとるつもりで大学内の誰も使わない一室でゆっくり趣味を楽しみ、今でもこうして絵を描く練習をしている。
……しかし。
「らいく〜んっ⭐︎
そんなヘタクソな絵なんか描いてないでありすのコスプレ見てみて〜っ♡
ありすの可愛くてキラキラな姿の写真撮影してよ〜♪」
「がはっ! ありす、いきなり抱きついてくるんじゃねーっ!」
俺が真面目に絵を描いているにもかかわらず、いきなり抱きついて邪魔をしてくる、この女の子。
名前は「
黒髪ロングをツーサイドアップにしていて前髪はぱっつん姫カット、背が低く、その割には胸やお尻がとても大きい。お腹も太っているわけではないがむっちりしてて健康的な肉付き。顔は大きなタレ目で何故か瞳がキラキラしていて、明るい笑顔がとても眩しい。
俺みたいなキモオタ男を惑わせるようなとびきりの美少女だ。
今アイドルのようなコスプレをしている通り、コスプレイヤーとして活動しており、その可愛らしさ、美しさから世間で大人気で、「コミマ」等のコスプレイベントや撮影会に積極的に参加したり、時にはコスプレ姿の自撮りまでして、その写真をネット上に公開し、多数の高評価を受けている。
大学内外問わずたくさんの男達にモテまくるし、ありすもそんな男達に写真を撮ってもらったり、握手したり、楽しそうにお喋りしたりしているのだが……何故か俺に積極的に迫ってくるのだ。
こいつとは出会った時に色々あったし、コスプレを始めた理由だって……いや、今その話はやめよう。
とにかく、俺みたいな隠キャキモオタ根暗男なんかより、他の陽キャリア充イケメン男とか、あるいはありすと趣味が合う俺よりもよほどオタク知識がある男の方にアプローチしてくれた方がこいつは幸せになりそうなものだが。
「頼人よぉ〜!
そんなメンヘラ芋女の相手すんじゃなくてアタシとゲーセン行こうぜー!
格闘ゲームでアタシがオメーのことボコボコにしてやるからっ⭐︎」
「いててて!
ありすの反対側から突然、俺の首に腕を組み付けて引っ張ってくる、この乱暴で、まさにギャルな見た目をした女の子。
名前は「
黒髪をショートボブにし前髪は髪留めで分けていて、背はありすより少し高いがそれでも低めで、しかしながらありす程ではないにしろ胸やお尻がかなり大きめで、そしてウエストがかなり細いモデルのような体型。
目つきはややツリ目で、ギラリと歯を見せながら笑うことが多いのもあって、強気な印象を与えてくる。
まさに俺のような陰キャ男を振り回して来そうなイケイケの美女だ。
彼女は格闘ゲームと言ったが、つまり今時eスポーツと言われるようなPvPの対戦ゲームが俺なんか比べ物にならないぐらいめちゃくちゃ強くて、全国大会で何度も上位に入り、ネット上の動画サイト「ユーループ」でもプレイ動画を投稿・配信してその強さから高評価を多数稼いでいる。
本来対戦ゲーム界隈というのは男が多いのだが、その中で異彩を放っているすごく美人な女の子。
こいつもありすに負けず劣らず他の男達にモテまくるわけで、俺なんか放っておけば良いのに……とは思うが。
叶恵とも出会った頃は、色々いざこざもあり、まさかこんなことになるとは思ってなかったし……
「もー、かなちゃんのハイエナ泥棒猫女!
らいくんはありすのコスプレ見たり写真撮ったりするのに忙しいのっ!
かなちゃんみたいな乱暴で下品なクソビッチギャルと遊んでる暇なんかないんだからっ!
らいくんもそう思うよね〜♪」
「ありす!
頼人はアタシと対戦ゲームしてボコボコにされてマウントとられるのが嬉しいんだよ!
ありすみたいな頭ん中お花畑なオタサーの姫と付き合っても退屈過ぎんだよ!
頼人もビシッと言ってやれやっ♪」
「あだだだだやめろお前ら俺を殺す気か!!」
ありすは俺の胴体、叶恵は俺の首を引っ張りながら言い争いを始めてしまう。
ちなみに二人の柔らかくて大きな胸が俺の身体に押し付けられているが、今の俺は命の危機に瀕していてそれのありがたみを感じていられるような状態ではない。
この二人の醜い喧嘩、一体何度目やら……その度に俺はこのように痛めつけられ苦しめられている。
「らいくんはありすのものなの〜っ!」
「頼人はアタシがいじめてやるんだよぉっ!」
「お前ら良い加減にしろ! ああもうわかったって!
俺の絵をヘタクソとか言うのは腹立つが、ありすのコスプレの写真撮ったり、叶恵とゲーセンに行くのには付き合ってやる!
同時にはできねーから順番に、ありすのコスプレ撮影、次は叶恵とのゲームな。
だから今すぐ離せ!!」
俺が二人に引っ張られて死にそうになりながらも、なんとか声を発して二人の説得を試みる。
すると、二人ともピタッと俺を掴み引っ張るのをやめた。
「がはっ……!」
俺は床に崩れ落ちた。
「やったー⭐︎ ありすの可愛くてキラキラなコスプレ撮ってくれるんだね〜♪
らいくん興奮し過ぎて襲いかかっちゃだめだよ〜♡」
「ケッ! ありすのコスプレ撮影が先かよ!
だったらアタシもコスプレしてありすなんかよりも可愛くて美人だって証明してやるよ♪」
「もー! かなちゃんコスプレ似合わないのにありすの邪魔しないでよー!
それだったらありすだって後で一緒にゲーセンに行ってかなちゃんよりもゲーム上手い美少女ゲーマーなとこ見せてあげるんだからっ♪」
「んだと! ありすなんかヘタクソ過ぎてアタシがボコボコにして笑いものにしてやるぜ!」
「「む〜!」」
二人は俺の提案に納得し喜んでいるようだが、まだ言い争いはやめてくれない。
「だからよ……喧嘩すんじゃねぇぞ……」
俺の力尽きそうになりながら意地でも握っているペン先のインクが、床に滲んでいく。
ちなみにこいつら、ありすはゲーム、叶恵はコスプレも、お互い貶し合っている割に普通の人よりはよっぽど上手いんだよな。
この二人がこの部屋に長く入り浸ってるせいで、いつの間にかコスプレ撮影や、据え置きゲーム機とモニター等の設備がやたらと充実してしまっているのが笑えない。
とりあえず、俺が生きて立ち上がれたら、ありすと、叶恵もか、彼女達のコスプレ撮影の準備をしなければ……
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