君のとなりにいさせて

@itimisu-macaron

第1話 いつも意地悪で時々優しい君 鈴茄sibe

「こんな問題も解けないの?そっか、鈴茄は頭良くないもんね。」

「あれ?全然追いついてないけど。鈴茄やっぱり足遅いよ。」

君はいつも私に意地悪なことを言ってくる。

「大丈夫?良かった…心臓止まるかと思った。」

「俺のこと頼ればいいじゃん」

でも時々、とっても優しくなる。そんな君が好きなのに、どうしても伝えられない。

 ―私の名前は、旭田鈴茄(あさひだりんか)。今は中学二年生で、お父さんと二人で暮らしている。前はお母さんとお兄ちゃんもいたけど、今は二人。

 生まれつき色白の肌とぱっちりとした二重の目は、お父さんゆずりで髪は真っ黒のストレート。周りの人から「大人っぽい」とか「クールな感じで羨ましい」って言われるけど、私は変わりたいと思っている。近寄りがたい雰囲気を出してしまうし、素直にものを言えない。もちろん好きな人にも。

「鈴茄ー。」

来た。私の好きな人の名前は、卯荻陸(うおぎりく)。今は中学三年生で、成績優秀、スポーツ万能、さらに誰が見ても整っているとわかる容姿の持ち主。でも…

「なぁ鈴茄、聞いてんの?」

「べ、別に聞いてなくはないし。」

「聞いてないなら話さないし聞いてなくていいよー。」

陸はSなんだ。私に意地悪なことを言って笑ってるし。

「やっ…聞いてないとは…い、言ってないし……。」

私はわたしで素直じゃないから、世間で言うツンデレだということは自覚しているけれど、どうしても素直になれない。特に大好きな人が。

「ふっ、はいはい。かまってあげましょう。」

「別にかまってほしいなんて一言も……」

「そうゆうのは、素直に受け取った方がいいと思うけど。まあ俺には関係ないか。」

「関係なくないし!…あっ!」

こんな風にいつも手のひらで転がされている。最初は嫌だったけど、今はちょっと嬉しい。

その時にすごく速い車が前からきて、私は陸の腕の中にいた。

「えっ!」

ものすごい動揺してしまって、つい声が出てしまった。

「大丈夫?あの車スピード出しすぎだよね。はぁ…鈴茄が無事でよかった。」

陸は急に優しくなる。それも、ものすごく優しいから心臓に悪い。そんなところが好き。

 陸とは、私が中学受験して入学してから知り合った。陸は生徒会長で、私が副生徒会長になって初めて話した。その時にこの人はSだって分かって関わりたくないと思ったけど目をつけられちゃって、同じ向きだから登下校を一緒に行くことになってしまった。最初は「卯荻先輩」と言っていたけど「陸」って呼べと言われたので抵抗するとすごいことになるから大人しく呼んでいた。だけど陸の優しさにきずいたら、嬉しくなった。

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