第16話氷の女王と林間学校の班決め
黒兎と雫が同居し始めて、2週間。学校は、林間学校の準備に入っていた。
林間学校は、1日目、クラスマッチ、登山
2日目カレー作り、キャンプファイヤー
3日目自由時間という2泊3日である。
勿論黒兎は聡、陽の3人でグループを作りこの班で林間学校の部屋メンバーとなっている。
しかし、一つだけ決まらない点がある。
それは、カレー作り、登山の班である。
この班は女子と男子のグループがくっついて班作業を行うのだがこの班がなかなか決まらない。
みんなしてワガママを言いまくるので意見がまとまらず班決めは20分ほど膠着状態だ。
「黒兎はどの班となりたいとかある?」
「ないな」
「だよな」
「黒っちはそう言うと思ってた」
「聡は?」
「俺は咲良の班かな」
山谷咲良やまたにさくらは聡の彼女で、入学式で聡が一目惚れし、即告白。咲良は最初は戸惑っていたが、だんだんと聡の押しに折れ、今は正式な彼女である。運動神経がとてもよく、美人なので人気がとても高い。聡の彼氏じゃなきゃ色んな人が異性として狙っていたと思う。
「だよな。聡は彼女いんもんな」
「ええなー彼女」
「いいよなー」
「黒兎はいるじゃん」
「いねぇよ、あれは違うって言ってるだろ」
「またまたー」
「ホントだよ!」
あの件以来黒兎は彼女いるにんていをされている。迷惑もいいところである。あの日から、色々嗅ぎ回られて黒兎は苦労しているのである。しかし…
「そーいやさ、咲良の班に冬矢さんいるんだろ?」
「らしいな」
「黒兎、あの人どう思う?」
「黒っちは、ああいうタイプ嫌いそうだよな」
「あっ、でも最近冬矢さんのこと見てたりするし、もしかしたら案外タイプ?」
「なんでだよ!」
鋭い。やばい。なんてピンポイントなんだ!
黒兎は聡と陽と友達になったことを凄い勢いで後悔している。
「だってさ、黒っちは、なんか人に合わせて全て動くような人苦手だろ?」
「そうだよな、色々黒兎もあったしな」
「…………まぁ…………そうかもしれないな」
黒兎は返答に困る。自分の過去のことをあまり思い出したくないということもあるが、ふと黒兎は疑問を抱える。
黒兎の苦手なタイプの人は、グイグイ来るタイプで自分のことしか考えない人と、全部人任せにして、全部人に合わせて…そんな自分のことを表に出さない人が苦手なのだ。過去に色々あって…
しかし、今、同居している人はそんな、自分のことを表に出さない人だ。なぜそんな奴と自分は暮らしているのだろうか…
黒兎はきっと自分の謎の正義感で困っている雫を放っておけないと思ってしまっただけだと言い聞かせた。それ以上考えることが嫌で、何か引っかかるがその引っかかりに気づけば何か大事なことをなくす気がして、黒兎は嫌なことから目を背けるように、気づかぬフリをする。
「ホントどうする?」
「まあ、みんな誰でもいいんだったら咲良の班にするか?」
「俺はいいぞ」
「咲良がいるならなんでもいいや」
その後黒兎の班は雫と咲良のいる班とくっつくことに決まった。
なかなか班決めが決まらなかったが、クラスの皆が、聡と咲良は一緒にしてあげようという心遣いで班が決まった。
これでメンバーは、
黒兎、聡、陽、咲良、雫それと雫の班のもう1人の女子高橋 優心たかはしこころというクラスのとてもいい意味でも、悪い意味でも元気の有り余るそんな明るい女子だ。
勿論、男子人気が高い。小学生の頃、男子のドッジボールに混じって無双していた女子を想像して、高校生になって少し女の子らしさもでてきた感じを想像すると、優心になる。ので男子の人気は高く、オマケに可愛い系である。
クラスの班決めも無事終わり、結果、黒兎だけ場違いのメンバーとなってしまった。
聡、陽キャで彼女持ち、しかも彼女も美人の咲良
陽、学級委員長のイケメンおぼっちゃま。女子人気が高い
咲良、運動神経抜群の美人、イケメンの聡の彼女
優心、美人、元気いっぱいの可愛い系。男子からの絶大な人気
雫、あまり感情を表に出さない女子、しかしそれ以外完璧の氷の女王。一部ではその冷たさも人気
黒兎…普通。いい意味でも悪い意味でも
という黒兎だけ場違い感が半端ない班である。
林間学校は、2週間後である。
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