最強異端の植物使い〜外れスキル『植物図鑑』のせいで幼馴染と婚約破棄になったけど、チートスキルだと判明したので無双する〜

福寿草真【コミカライズ連載中/書籍発売中

第1章 植物図鑑の真価 編

第1話 期待と侮蔑

「……あ、あれ……ここは──」


 ふと気がつくと、俺は青々と茂る草の上に座っていた。訳がわからず困惑しながらも、顔を上げ周囲を見回すと、眼前に日本ではまずお目にかかれないような西洋風の屋敷がドドンと鎮座している。


 ……ここはどこだ?


 眉根を潜め、再び辺りを見回す。そしてこれまた再び屋敷へと目を向け──ここで、徐々に思考が馴染んでいくように、それがさも当たり前の事であるかのように自覚する。


 あぁ、そうだ。僕は、レフト・アルストリア。アルストリア男爵家の三男。年齢は8歳で、ここは実家の庭。今は庭で自然と触れ合っていた所だ。


 一度自覚すると、先程までの困惑は瞬く間に消え去る。


 と同時に思う。現状に一切の違和感は無いし、この記憶に何も間違いはない。

 そりゃ当たり前だ。僕自身の記憶なのだから。


 しかし同時に、こことは違う世界、地球という星の日本という国でただひたすらに働いていた頃の記憶がある。……これが流行りの異世界転生ってやつかな?


 異世界転生なんて空想の話ではあるが、特徴は一致している。


 死因は覚えていないが、向こうで死に、この世界でレフトとして転生した。そして何故このタイミングかはわからないが、今この瞬間、その事を自覚したのだろう。


 転生を自覚したからと言って、人格が前世に乗っ取られたかと言うと、決してそういう訳ではない。


 さっき言ったように、僕は間違いなくレフトだと自覚しているし、今までの記憶も勿論ある。ただ、同時に日本で死に物狂いで働いていた記憶も持っているというだけ。


 つまり、とても不思議な感覚ではあるが、人格や意識なんかはきちんと融合しているのである。


 なんて、僕がこの身に突如起こった変化に考えを巡らせていると、誰かが近づく音が聞こえてくる。


 のんびりとそちらへと目を向ける。すると、そこにはこちらへほんわかした笑顔で歩いてくる大人の女性と、それに連れられてくる勝気な笑みの美幼女の姿が。


 勿論、僕は2人の事を知っている。


 大人の女性は、僕のお母様で男爵夫人のセルビア・アルストリア。そして美幼女の方は──


「レフト。リティナちゃんが遊びに来たわよー」


 お母様が立ち止まりそう言うと、隣を歩いていた美幼女が前にでる。

 そして日本の創作文化ではお馴染みのツインドリルにした金色の髪をファサッとすると、見た目通りの高飛車な様を存分に見せながら高らかに声を上げる。


「レフト! 今日も来てあげたわよ! 存分に感謝なさい!」


「リティナちゃん!」


 立ち上がり、僕は走り寄る。


 彼女の名はリティナ・ビーバナム。ビーバナム子爵家の長女で、僕と同い年。3歳の頃からよく遊んでいる幼馴染みで、いつもツンツンしているけど、本当は心優しい女の子。

 ──そしてなんと僕の許嫁でもあるんだ。


 そんな彼女に僕は走り寄ると盛大にタックルをかます。許嫁云々ではなく、単純に僕の唯一のお友達であるリティナちゃんが来てくれた事に、気持ちを抑えられなくなっちゃったんだ。


 リティナちゃんは僕のタックルもとい抱きつきを受け、堪えきれなかったのかトテッと尻餅をつく。

 そして僕にキッと鋭い視線を向けると、


「何するのよ!」


 と言い、僕の髪をくしゃくしゃとする。

 僕は知っている。口調はきついが、リティナちゃんは決して怒っている訳ではなく、これは単なるじゃれあいであると。


 そんないつも通り仲良さげな僕達を、お母様は優しげな瞳で見つめた後、


「時間になったらまた来るわね」


 と言うと屋敷の中へと戻っていった。


 ◇


 いつも通りもつれ合い、くしゃくしゃになった後、僕はキラキラした目で口を開く。


「今日は何しよっか!」


 するとリティナちゃんは腕を組み、当然とばかりに、


「勿論、おままごとよ!」


 僕は露骨に嫌な顔をする。


「えー、もう9回連続だよ? 流石に違う事しようよ」


 リティナちゃんは少しおませさんで、8歳にして色々と知っている。だからか、おままごとと言いながら凄くリアルで、不倫とか離婚とかドロドロした内容をやっているんだ。


 おままごとなのに。


「ダメよ! これは将来の為の予行演習なのよ! 結婚しても上手くいく夫婦ばかりじゃない中で、どうすれば仲の良いままで居られるか。不倫、離婚、再婚、今考えうる夫婦間の問題を全て体験する事で、仲違いのリスクを少しでも減らそうという大事な大事な試みなの!」


 リティナちゃんが政治家よろしく力説する。


 おままごとなのに。


 けど、こうなったリティナちゃんはもう止められない。それに、僕との今後を真剣に考えてくれているのがわかるし、その気持ちが嬉しいから断る気はなかった。


 こうして僕達は、8歳がやるとは思えないおままごとを始めるのであった。


 ◇


 そんなこんなで楽しい日々を過ごす事、約2年。僕は10歳になった。


 この世界で10歳と言えば、節目の年でもある。何故なら10歳になると、神様から恩恵ギフトという名の力が与えられる、恩恵授与式があるからだ。


 ギフトは今後を左右する大事な力だ。凄いギフトを得られれば、出世街道を走ることができ、逆に微妙なギフトだと出世の道は大きく遠のいてしまう。


 だからこそ、恩恵授与式のある──今日。10歳の子を持つ親、そして子自身もソワソワとしてしまうのだ。


 勿論、会場である街の教会に向かう僕や両親も朝からえも言ない緊張感に包まれている。

 馬車で揺られる今も、お母様は何かアワアワとしてるし、その横で腕を組み静かに座るお父様ガベル・アルストリアもいつもはしない貧乏揺すりをしている。


 と、そのまま走る事数分。僕達は教会へと到着した。


 お母様とお父様に手を引かれて、馬車を降りる。


 すると、既に到着していた10歳の子を持つ親が、平民や貴族問わずに、ざわざわとしだし、


「神童のレフト君だ」「あれが神童のレフト様なのね。幼いのに何て凛々しいお顔なのかしら」


 等々、僕を褒め称える声が沢山聞こえてくる。同時に、こちらに来ては挨拶をしていく大量の貴族。


 そう、実は僕は昔から『神童』と呼ばれ期待されている。何でも、生まれた時から保有する初期魔力というやつが、通常の同年代の子より多いらしい。


 この世界はギフトが支配する世界。当然、魔力が多いからと言って、ギフトが優れているとは限らない。しかし、どうやら魔力が特別多い者は恵まれたギフトを得るというジンクスの様なものがあるらしく、皆僕が素晴らしいギフトを得ると信じて疑わない。


 だから神童と呼ばれ期待されるし、まさに今起こっている様に、僕との繋がりを作ろうと、様々な貴族が僕達に話しかけてくるのである。


 と、そんな状況に内心うへーっと嫌気が差していると、ここで鈴を転がすかのような幼くも美しい声が聞こえてくる。


「レフト!」


 声の主はリティナちゃん。僕を見つけると、バタバタと走り寄ってくる。


 今日が記念の日だからか、それとも貴族が多く集まる場だからか、リティナちゃんはいつもよりもしっかりとおめかしをしていた。

 その姿が幼いながら将来絶世の美女になる事間違いなしの容貌をしている彼女にとっても似合っており、可愛かった。


 その事を彼女がやってくると同時に伝える。すると、リティナちゃんは珍しく頬を赤らめた後、ツンとそっぽを向いてしまった。


 と、そうこうしている内にゆっくりと歩いていたリティナちゃんのご両親も僕達の近くへとくる。


 リティナちゃんのお父様ルドルフ・ビーバナムに、お母様アルロア・ビーバナム。どちらも教育熱心で、非常に厳しい人だ。何でも実力主義らしくて、リティナちゃんも幼少のころから色々な訓練をしているらしい。その為、中々遊べず、唯一許して貰った僕と遊ぶ時間が楽しみだと昔リティナちゃんが言っていた。


 リティナちゃんと遊ぶ時、向こうのお家にお邪魔した事もある。けど、忙しいのか彼女のご両親と遭遇する事が全く無かった為、こうして直接顔を合わせるのはかなり久しぶりの事であった。


 リティナちゃんのご両親へと僕は挨拶をする。すると、言葉少なく返事した後、リティナちゃんのご両親は、僕の両親の方へと挨拶に行った。


 それを受け、僕は再びリティナちゃんの方へと向き直ると、いつも通り話を始めた。


 ◇


 そうこうしている内に、時間になったようで、教会の神父が皆の前に登場した。


 神父の後ろには、創造神様を象った像が置かれており、言いようのない存在感を放っている。


 注目の中、神父は話を始める。


 大した内容では無い。10歳を迎え神様から恩恵を頂ける僕達への祝福の言葉や、今後と恩恵の関係などの話だ。


 話が終わるといよいよ恩恵授与式が始まる。


 式の流れは至って単純で、10歳の子供が1人ずつ神父の元へと行き、簡単な儀式のようなものを行う。すると、創造神様の像が輝き、光が収まるとどういう訳かステータスに恩恵の名が刻まれいるのだ。


 お、1人目はギリス君か。


 1人目の少年が前に行く。彼は伯爵家次男で将来を有望視されている存在のうちの1人だ。ギリス君と言ってはいるが、貴族の集まりで時折姿を目にする位で、実際に話した事は数度しかない。


 ギリス君は創造神様の像の前で片膝立ちになり目を瞑ると、祈るように両手を組む。


 すると創造神様の像がピカッと輝き、その光が集まると、ギリス君の中へと入っていった。


 と同時にステータスを表示する画面が神父の前へと現れる。


 それを目にし、神父が感心したように声を上げる。


「ギリスのギフトは斧術Ⅱか! 戦闘に特化した素晴らしいギフトじゃな。それに既にレベル2。これは将来有望じゃ」


 神父の声にギリス君は目を輝かせ、両親の方へと走り寄って行く。どうやら両親にとっても素晴らしいギフトだったのだろう、抱き合って喜んでいる。


 因みに神父の言う様にギフトにはレベルが存在する。レベルはⅠからⅩまで存在していると言われ、レベルが上がる程できる事が増えていくようだ。

 勿論レベルと言う事で使用すれば上がる。が、ギフトのレベルを上げるのは相当難しい為、神様から頂いた瞬間、つまりギフトの初期レベルは高ければ高い程優秀と言われている。


 ギリス君の斧術は戦闘系ギフトとしてはありふれたものだ。しかし、初期レベルが基本1であることが多い中で、既に2というのはアドバンテージがあると言える、つまり非常に優秀という訳だ。


 ……レベルⅡかぁ。良いなぁ。


 両親と抱き合うギリス君を見ながら僕はそう思った。


 こうして幸先良く授与式は始まった。


 しかし、残酷な事に結果は人それぞれ。例えばギリス君の次に前に向かったライク君は戦闘系希望だったのにも関わらず、頂いたギフトは裁縫術。それもレベルⅠ。


 職として困る事は無いのかもしれないが、望んでいたものとは真逆のギフトに、ライク君と両親は泣き、周囲はそんな彼らを哀れんだ。


 と、結果はまちまちではあるが授与式は進み、ここで遂にリティナちゃんの名が呼ばれた。


 リティナちゃんは前に行くと、同じ様に祈りを捧げる。すると、光が彼女の中へと入って行き、ステータスが神父の前に表示される。それを目にし神父は驚愕した。


「おお!? 魔術(風、火)に、剣術Ⅱだと!?」


 皆が騒めく。それも当然だ。


 何故ならリティナちゃんは世にも珍しいギフト3つ持ちに加え、遠距離攻撃の魔術と、近距離攻撃の剣術両方を同時に有する遠近複合型だったのだ。


 通常戦闘は前衛と後衛に別れるのだが、彼女のギフトはそれを1人で賄えてしまう。


 この世界では珍しく、そして恵まれた力であった。


 リティナちゃんがこちらに駆け寄ってくる。実力主義である彼女の両親もこの結果には満足したのか、笑顔で彼女を迎え入れた。


 僕もリティナちゃんへと声を掛ける。


「リティナちゃんおめでとう」


「ありがとレフト! これでずっと一緒にいれそうね」


 ずっと一緒。つまり、ギフトの力を伸ばす学園も同じ場所に行ける……という事だろうか。しかし、僕はまだギフトを得ていない。


「まだわからないよ?」


「大丈夫よ! レフトはいつも私に色々な事を教えてくれるし、凄いもの!」


 リティナちゃんは当然とばかりに、100%の信頼を向けながら断言する。


 その信頼を受け、僕は素直に嬉しかった。

 けど同時に、前世の記憶を得た影響か、何となく嫌な予感がしていた。


 ──うーん。前世で流行っていた異世界転生物だと、こうも期待されていると……。


 と、考えている内にどうやら授与式ラスト、つまり未だ名前を呼ばれていない僕の番が来た様だ。


 両親や、リティナちゃんの期待を背に、前へと向かう。


 創造神様の前へと着くと、近くに居る神父がこちらに期待の目を向ける。


「最後はレフトか。期待しておるぞ」


 その言葉を受け、僕は更に前進。そして創造神様の前で祈りを捧げると、今までと同じく光が僕の中へと入ってきて、神父の前にステータスが表示される。それを目にし──


「これは──」


 神父が困惑の声を上げる。訝しむ皆。神父は言葉を続ける。


「植物図鑑……とあるが、このようなギフトは未だかつて見た事がないのぅ」


 瞬間、周りがザワザワとしだす。

 何故ならば、神父の知らないギフト……それ即ちユニークギフトである可能性が高いからだ。


「ユニークギフトか!?」「流石神童!」


 様々な声が背後から聞こえてくる。


 ユニークギフト。確かにそれならば、非常に希少であるし、ユニークギフトは総じて強力。間違いなく出世街道をひた走る事ができるだろう。


 しかし──何故だろうか。嫌な予感は未だ収まらない。


「レフトよ。植物図鑑というものがどういうギフトかわかるかね?」


「はい」


 ギフトというものは不思議なもので、僕には植物図鑑の使い方が何となくわかる。


 という事で、うんと念じる。


 すると僕の左手が光り輝き、何やら荘厳な本の様な物が出現した。


 ……図鑑という割には随分と薄いな。


 見た目物々しいが、前世の図鑑と比べるとどうにもページ数が少ない様に思える。


 ……こういうものなのかな。


 図鑑を開き、ペラペラとめくる。

 中には図鑑の名に相応しく、数々の雑草や花の写真、名前、そして簡単な説明が書いてある。


 ……うん、図鑑だ。それで──なるほどね。


 使い方を本能的に理解した僕は、適当なページの適当な雑草の写真に触れ、念じる。


 すると、図鑑を持っていない僕の右手に、先程まで触れていた写真そのままの雑草が出現した。


 一連の流れを固唾を飲んで見守っていた神父が、恐る恐る口を開く。


「おお……! レフトそれは何だ?」


「タダアノ草ですね。このように、図鑑に描かれている植物を実体化できる力のようです」


 未だ詳細はわからないが、どうやらそのようである。僕の言葉を受け、神父が目を見開くと共に食い気味で、


「なに!? と、という事はエリクサーの材料である神恵草なども実体化できるという事か!?」


 周囲がワッと湧く。そんな中、努めて冷静な僕はペラペラと図鑑をめくり──


「…………えーっと、それは図鑑に無いので無理ですね」


 周囲の熱が下がる。


「むむっ……な、なら上級ポーションに必要な上級薬草は!」


 ペラペラとめくり、


「……ありませんね」


「…………下級薬草は」


「……ありません」


 僕の言葉の後、あれ程騒がしかった周囲がシンと静まり返る。


 そんな中で、一部貴族がポツリと呟く様に口を開く。


「……ゴミギフトではないか」


 すると、まるで今まで抑えていたものを吐き出すかのように、


「何が神童だ」「雑草しか召喚できないとは笑い物ですわ」「……期待して損をしたというものよ」


 一転、その場に居た人々が侮蔑の表情を浮かべる。


 僕は思わず両親の方を向く。すると母親は泣き、父親は悲痛な表情を浮かべ、その横に居たリティナちゃんの両親は険しい顔でこちらを見ている。リティナちゃんはと言うと信じられないと言った風に呆然としていた。


 ……うん。これ、前世の記憶が無ければ耐えられなかったかも。


 周囲の急激な変化にふと僕は思う。今は前世の記憶──様々な辛い経験をしてきた記憶がある為、この雰囲気にも耐えられる。

 しかし、もし前世の記憶が無かったら──僕は発狂し、泣き叫んでいたかもしれない。


 口を噤む僕。そんな僕に、落ち込んだ様相で神父が「戻りなさい」と言う。


 言葉を受け、僕は歩き両親の方へと向かう。


 その間にも、神父は簡単な挨拶をし、授与式は終了、解散となる。


 重苦しい視線に晒されながら、両親の元へ辿り着いた僕は、2人の反応がどうか不安に思い、恐る恐る声を掛ける。


「……お父様、お母様」


 悲痛な表情の2人。その姿を見ていると、期待に応えられなかったのかなと悲しくなってくる。


 と、ここで。


「「レフト!」」


 お母様、お父様の順で2人が僕を強く抱きしめ、そのまま僕を安心させるかのように、


「……ギフトなんて関係ない。お前は俺達の大事な大事な息子だ」


 と優しく声を上げる。

 その言葉に、例え前世の記憶があっても、両親に拒絶されるのは恐れていたのだろう、僕は2人の温もりに包まれながら、あぁ両親に恵まれたなとそう思い、大声を上げて泣いた。


 ◇


 この後、色々とあった。


 まず、僕の才能を見限ったのだろう、アルストリア男爵家と関わる貴族が減った。

 とは言え、2人のお兄様が非常に優秀な事もあり、全くゼロになった訳ではない為、貴族としてそこまで問題がある訳でないが。


 次に、今までならば、街を歩けば神童と呼ばれたり、優しく声を掛けられていたが、これもいつしか雑草使いという蔑称に変わり、皆僕に過度に接しない様になった。

 しかしこれも全員ではなく、昔からの顔見知りは普通に接してくれている為、まだましか。


 一番大きな出来事としては、リティナちゃんとの婚約が解消となった事だ。

 何でも翌日両親に連絡があったらしい。


 その影響で、態々隣町から、それこそ毎日のように遊びに来ていたリティナちゃんが来なくなってしまった。リティナちゃんの意思なのか、彼女のご両親によるものなのかはわからないが、やはり、許嫁どうこうは関係なく、ただよく遊んでいた友達と離れ離れになってしまうのは寂しかった。まるで前世で言う所の転校別れのような寂しさか。


 とにかく、一瞬にして周囲の評価や環境が変わってしまった。


 因みに僕自身はと言うと、両親を悲しませてしまった事は辛いが、植物図鑑というギフトを頂いた事については特に悲観していなかった。

 昔からよく庭で遊んでおり、自然と触れ合う機会が多かったからか、僕自身植物が大好きだったからだ。


 ただ、今後どう生きていくか。どのような職業を目指すべきか。ギフトを生かせる何かはあるのか。


 僕は考えていかなければならない。


 そして考え、見つけ──いつか両親が胸を張って自慢の息子だと言えるような立派な人間になろう。


 僕は1人そう決意した。


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『ヒトカラとギャルJK』

『俺だけダンジョンの難易度が鬼畜すぎる件』


という短編を投稿しました。1万字程度と比較的読みやすい文字数なので、よろしければそちらもご覧ください。

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