超伝説‼皿洗い
さとうたいち
第1話 入門
「おい!田中!早くしろ!皿溜まってんぞ!」
田中「す、すいません!」
カチャカチャ、ガッ!
ガッチャーン!パリーン!
田中「あ、あああ!すいません!」
「おい!なにしてんだよ!今日はもういいよ田中!」
田中「あああ、すいません!」
「代わりに牧原呼べ!皿洗いの牧原!」
田中「さ、皿洗いの牧原?」
「あぁ!?知らねぇのか!?お前皿洗いになりたいんだよな?」
田中「いや、な、なりたいですけど、なりたいからと言って知ってるわけではないというか」
「ごちゃごちゃうるせぇよ!とにかくな、皿洗いの大手事務所サラーズに電話しろ!」
田中「皿洗いの大手事務所?サラーズ?」
「おいおい、嘘だろ?それも知らねーのか。まあいい、この電話番号に電話しろ!」
田中「は、はい」
「あ、うちの固定電話からな」
田中「僕携帯持ってないんで、そうするつもりでした」
「まじか」
田中「えっとー、36110」
ピポパポピッ
プルルル プルルル
サラーズ「はい、こちらサラーズです。緊急ですか?予約ですか?」
田中「え?き、緊急です。あ、あのーまき、牧原さん?をお願いしたいです。」
サラーズ「かしこまりました。本日は牧原、奇跡的に空いておりましたが、牧原は大変人気ですので次回からは予約するようお願い致します。」
田中「ああ、はい、すいません。」
サラーズ「では5分後に、牧原がそちらに到着致しますので。」
田中「え?場所とか言わなくて大丈夫です、か?」
サラーズ「はい。最新式ですので。では5分後にカプセルが到着致しますのでよろしくお願い致します。失礼致します。」
田中「カプセル?え?あ、え?」
プーップーッ
田中「切れちゃった。カプセルってなんだ、、?」
「できたか!?田中!」
田中「あ、多分できたと思います。」
「そんじゃあ、見とけ!プロの技!神の皿洗い!」
田中「神の皿洗い?」
〜5分後〜
ドゥーーン、バン!ガッシャーーーン!ドゥガガガガガガガ!
田中「え、え?プ、プ○ウス?す、すいません!プ、プ○ウスが、店の中に突っ込んできました!」
「プ○ウスじゃねーよ。見てみろ。カプセルだ。牧原だよ。」
田中「え、え!?こ、こんな感じで来るんですか?み、店、ぶっ壊れてますよ!?」
「店がぶっ壊れてもプラマイゼロ。むしろプラス。それが牧原だ。」
田中「さ、皿洗いなのに、、?」
ドゥシ、プシューー
田中「あ、あ、開いた!」
牧原「どもーーー!牧原でぇーーす!」
田中「う、うわぁあ!」
牧原「そんな驚かないでよ。同じ人間だから」
「牧原、よろしく頼む。あと、そいつ皿洗い目指してるやつだから、お前の力見せてやってくれ。」
牧原「お!まかしときんしゃいなー!」
田中「な、なんか思ってたキャラと違う。」
「じゃ、牧原。ランチタイムモードで。お願い。」
牧原「うぃっすー!」
この時の僕はまだ知らなかった。本当の皿洗いというものを。なにか勘違いしていたのだ。皿洗いは雑用だとか、下っ端がやることだとか。
皿洗いを夢として掲げながら、皿洗いを、見下していた。
今、目の前で皿洗いが行われている。神の皿洗いと呼ばれているらしい牧原さんの技が、脳に刻み込まれていく。
なんということだろう。皿洗いって、こんなに眩しいものなのか。牧原さんの背中はかっこよすぎて、大きすぎる。
牧原さんは洗浄機を使わない。全て手洗いで行っている。じゃんじゃん運ばれてくる皿を1枚1枚丁寧に洗う。洗われた皿はまるで、まるで今入荷したかのように綺麗になる。そして、洗浄機より早い。
すごすぎる。ド○ゴンボールの戦闘シーンを見ているかのようだ。常人には見えないあの感じ。これはもう、皿洗いではない。すべてを超越した、神。そう思わなきゃ、脳が耐えられない。
牧原さんが皿洗いを開始し、10分が経った。わずか10分。
「ま、牧原!も、もういいから!きょ、今日はありがとう!」
牧原「お!うぃっす!」
牧原さんは全ての皿を洗い上げ、店のリフォームまでしていた。わずか10分
で。
あまりの速さと驚きと感動で、僕の体は固まっていた。
「お、おい!田中!どうだった!?すげぇだろ!俺も久々にみて拍子抜けしちまったよ!」
田中「、、、あ、、え?、あ、はい。」
牧原「田中ちゃんも、頑張っP!そんじゃ!」
田中「、、あ、ま、、牧原さん!」
牧原「どしたー!?」
田中「あ、あ、あのぼ、僕をで、弟子にしてください!!」
牧原「り!じゃ、事務所いこ!」
田中「え、?い、いいんですか?」
牧原「うん!」
こうして、僕の皿洗いロードが切り開かれることとなった。
超伝説‼皿洗い さとうたいち @taichigorgo0822
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