七人の魔法使い~ワンスアポンアタイムインxx~

大豆

昔々

序章

昔々、大昔、この世界は七人の魔法使いたちによって作られました。


魔法使いたちは世界に、まずは大地だいちを。


続いていのちを。



そして知恵ちえを与えました。



しかし、世界は、魔法使いたちの描く素晴らしいものには成り得ませんでした。


何度、失敗しました。


魔法使いの一人が言いました。


『おい、もういい加減キミのをつかっちまおうよ。僕は早く素晴らしい世界を実現させたいんだ。』


キミと呼ばれた魔法使いは言いました。


『それはだめだよ。千里眼これに頼ったら面白みがないじゃないか。』


千里眼を持つ魔法使いは言いました。





とある日、魔法使いの元にそれはそれはみすぼらしい人間の少年が訪ねてきました。


その日はその魔法使い一人でした。


『おや、人間なんて久しぶりだ。偶然にしても、よくこんな所へこれたものだね。』

魔法使いの一人は言いました。

  

少年はうつむいています。



『どうしたんだい坊や。まさか君も馬鹿な大人たちに唆されて僕たちを殺しに来たんじゃあるまいに。』

魔法使いは少年に笑いかけました。



『…』

少年はモゴモゴと口を動かしました。


『なんだい?』

魔法使いは問い掛けました。



『お母さんが……来る。』


少年は言いました。


『お母さん?』


すると少年の後方から、それはそれは大きなカラスが滑空してきました。



魔法使いは驚いて、体を強張らせました。


しかしカラスの動きは早く、なんと魔法使いの目玉を抉っていったのです。


『あぁぁぁぁぁぁあ!!!目が!!僕の千里眼がぁぁぁ!!!』


魔法使いはのたうち回ります。


『…ごめんなさい。』少年は頭をペコリと下げると、カラスにおぶさるようにし、飛び去りました。



『許さない、人間っ…人間めーーー!!』


魔法使いは叫びました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る