第5話 女神からの説得2

「不思議そうな顔をしているわね。無理もないわ。

簡単に言うとね。ショウを異世界にずっと置いておくとね。元の世界と転移先の世界に歪みが出るの。そのため、交互に世界を転移する事により歪みを少なくし、歪みを修復しやすくしたいわけ。」


そんなものなのだろうか。転移を繰り返す方が歪みが大きくなりそうだが、神様の世界の事だからよくわからないが。


「また、一週間毎と言ったけど、それぞれの世界で転移した時点に、次回転移した時に戻れるわ。わかりやすく言えば、10月1日にショウの世界から異世界に転移したとしたとすれば、一週間異世界で過ごしたとしても、次にショウの世界に戻った時は10月1日の続きから始まるわ。ほら、魅力的なプランでしょ。」


うーん。確かに異世界に行っても時間が進まないのであれば、竜宮城に行った浦島太郎のようにはならなくてすむかな。


「異世界を冒険出来て、ショウの世界でもちゃんと生活出来る。これ以上の好条件はないわよ。決めちゃいましょ。」


「そうですね。悪くないかもしれませんね…」


「じゃ決まりね。早速、ショウを異世界に転移させるわね。」


ミウラのオバちゃんがそう言うと、僕は白い光に包まれる。


「ちょっ、ちょっと待って!」


あまりに早急な転移を止めてもらおうと声を出すが、ミウラには聞こえていないようだ。


暫くして、白い光が収まり目が慣れて来ると、俺は草原に立っている事がわかった。本当に異世界に転移したんだ。俺は驚きながら、周りを見回す。


辺り一面草が生茂り、草原はどこまで続いているのかわからない。澄んだ空気に穏やかな風が吹く草原という見慣れない光景に、俺は呆然とする。


しばらくすると、俺はさらに呆然する事に気づく。俺はスーツにネクタイをし、革靴を履いて異世界の草原に立っていたのだ。





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