呪い

ぺんなす

第1話 呪われたお姫様

これは多分どこかにある世界のお姫様と王子様のお話です。



あるところに呪われた目を持つお姫様と、呪われた命を持つ王子様がいました。

呪われ目を持つお姫様は、その呪いのせいでお城で暮らすことができなく、誰も近寄らない森の奥にある窓のない小屋に一人で暮らしていました。

ある日、お姫様のもとに王子様がやってきました。


コンコン

ドアをノックする音が聞こえてきました。

お姫様は恐る恐るドアへ近づき尋ねました。


「誰か…いらっしゃるのですか…?」

すると、ドアの向こうから声が聞こえてきました。

「僕は、西の国からやってきました。第三王子のレイと申します。貴方に会いに来ました」

お姫様予想外の訪問者に驚きました。

わたくしに、ですか…?」

「はい。貴方に会いたくて来ました。この言葉に嘘偽りはありません」

お姫様は、思いました。


この方はきっと、本当に私に会いに来たのでしょう。

でも、私は…。


「ごめんなさい。王子様。私は誰にも会うことができないのです。私は…」

「存じております。お姫様。でも安心してください。僕は大丈夫です」

「でも…」

「お願いです。お姫様。僕はどうしても貴方に会いたいのです…」

お姫様は、王子様の切実な気持ちに応えなくては…と思いました。それと同時に、一つの願いを心に刻みました。

どうか、彼の言葉通り大丈夫であってほしい、と。


「ドアにカギはかかっていません。どうぞ、入ってください」



ドアを開けると、後ろを向いた一人の少女がいました。

「王子様…。振り向いてもいいですか…?」

「もちろん。大丈夫ですよ」


後ろを向いていた少女が僕のほうへ振り向いた。

気が付くと僕は、初めて生きていてよかったと思うのだった。


「僕…生きて、いますか…?」

「はい…生きています…生きてくれています……‼初めてです‼ほんとに、本当に良かった……‼生きててくれて、よかったです……‼」

そう言ってお姫様は涙を流しながらその場に崩れ落ちました。



「僕も、初めてよかった…って、生きてよかったって思いました」

そう言いながら王子様は姫様の手を握りました。

「泣かないでください。僕は、ちゃんと生きていますよ」


しばらくの間、お姫様の涙が止まることはありませんでした。

泣いて、泣いて、泣きじゃくりました。

王子様は、お姫様が落ち着くまで、手を離さずお姫様のそばにいました。


たくさんたくさん泣いて落ち着いたお姫様は、王子様にこう言いました。


「どうして……どうして王子様は大丈夫なのですか…?私が…私が見たものはみんな……みんな、死んでしまうというのに……」


王子様は少しの間、何も言いませんでした。

ですが、姫様の不安、そして、困惑している表情を見て、彼女には、しっかりと言わなければ…と思いました。

怖がられるかもしれない。恐れられるかもしれないという不安はありましたが、今だけはそれを忘れて、勇気を出すことにしました。


「僕は……僕は、不死身なんです。だから、僕は死ねないんです……」

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