Лучшие фестивали

瀬海(せうみ)

祭祀


H.A.


 ―—はい、ぼくと彼女は友人でした。


 その日は一緒に出掛けようと約束をしていて、公民館の前で待ち合わせをしたんです。


 やってきた彼女は夏らしい涼やかな浴衣に身を包んでいて、華奢な体にはそれがとても似合っていました。淡い水色の布地に金魚が踊っていたことを、よく覚えています。


 髪を結い上げていたので白いうなじがはっきりと見えて、目にする度にドギマギしましたし、こんな無防備でいいんだろうかとハラハラした記憶もあります。何せ彼女は綺麗でしたから、変な男が寄ってくるんじゃないかと考えてしまって。


 え。


 あはは、隠せませんか。


 はい。ぼくは彼女のことが好きでした。


 余所から転校してきたぼくにも優しくしてくれて、無邪気で明るくて、ムードメーカーのような存在でした。いつも誰にでもそんな感じで接するので、彼女に憧れていた友人も多いんじゃないかと思います。……そのせいで、やきもきすることもありましたが。


 今回縺翫m縺九b縺ョ縺溘■のお祭りに出掛けたのだって、ぼくの方から思い切って誘ってみたからです。彼女はハッとしたような顔で考え込みましたが、最後にはOKしてくれて、それが自分もとても嬉しかった。本心を言えば、これは勝算があるんじゃないかな、とも。


 だからお祭りはとても楽しかったですよ――通りもいつもとは違う賑わいを見せていて、皆が顔を紅潮させていました。多分、彼女に憧れていたという事情を差し引いても、最高のお祭りだったんじゃないかと思います。


 具体的な内容? ……言うほどのことでもないですよ、至って普通です。


 ―—通りに犇めくКрематорийを見て回ったり、チノーズの周りで催されていたイベントに参加したり。楽しかったことばかり覚えていてところどころの記憶は曖昧ですが、途中から誰かが服の裾を掴んでいた記憶があります。


 その後、お察しの通り豐ウ蟾晄聞に向かったんです。皆がそちらの方向に歩いていましたから。彼女はなぜか乗り気でない様子でしたけれど、ぼくとしてはこの機会を逃す手はありません。ここで勇気を振り絞って告白するつもりでした。


 そこから先の記憶は――あぁ、思い出すだに甘やかです。


 先に到着していた方々もぼくタチを祝福してくれているのか、一様に×××な表情を浮かべていて。だから走り出した彼女を誰かが引き留めると、嬉しそうな声を上げる  を皆でДемонтажしたんです。そうしてぼくは に 向かい合い、何度も突き入れながら自分の思いを告げました。彼女は涙を流しながら受け入れてくれました。……あの興奮、あの感動。その頃には手も足もありませんでしたけれど、ぼくたちは他でもなく心で繋がっていたんです。


 だから体なんてもう要らなくて、ぼくたちは一つ一つを手に取ると、銘々にそれらを愛でながら最後には火にくべました。あぁ――あぁ――その美しかったこと。やがて祭りが終わるまで、皆でその光景を眺めていました。中には川沿いの木で首を括ったり、水の中に身を投げる人もいましたけれど、どうしてそんなことをする必要があったのでしょう?


 あぁ、今でもあの光景が目に浮かびます。


 金魚が空を泳いでいました。彼女だったもの。




B.T.


 ―—えぇ、えぇ。そりゃあ盛り上がっていましたよ!


 何てったって縺翫m縺九b縺ョ縺溘■の祭りだったんですからね! 若い衆も年寄りも、みな浮かれたようになっておりました。


 今時、年なんて関係なしに楽しめる出来事がいくつあると思います? もちろん受け取り方は人それぞれでしょうがね、あの日、あそこにいた全員が――ていたんですよ。小規模な地元のイベントですが、それこそ国を挙げたお祭りのようでした。大騒ぎです。


 みな銘々にチノーズの周りで踊ったり、Дно водыで焼かれた   を食べ歩いたりしてね。そりゃあ、傍から見れば眉を顰めるようなことなのかもしれませんが、わたしたちにとっては本当に大切なことだったんです。境内にいたなら、きっとあなたにもお分かりでしょう。


 なに、ご参加でなかった? だから話を聞いている?


 そりゃあもったいない。……本当にもったいない。あの【psyːçɪʃ feminine】を直に体験できなかったなんて、そんな不幸なことが他に一つでもあるでしょうか!


 なぁに、気を落とすことはありませんよ、今年で終わりと言うわけではありません。また来週、それでなくとも来年、どこかでПровелされるんですから。きっとあなたもБыло бы неплохо, если бы вы могли жить до тех пор !


 ……現場の状況?


 はい? どうしてそんなことを訊くんです?


 人が[  ]いるじゃないかって、そんなこと、どうでもいいじゃありませんか?


 とどのつまり、祭りは大成功を収めたということで。結局、あれは不幸な事故だったんです。ですからお偉いさん方が気に掛けることじゃありません。いわゆる不可抗力です。


 熱に浮かされていただけの話ですよ――あぁでも、あなたはその場にいなかったのですよね。可哀そうに、それだからお分かりにはならないんだ。大丈夫! いつかその時が来る日まで、あなたにもお母様の加護があらんことを!




K.I.


 ——あなたは何を訊きたいんです。


 どうしてあたしに訊くんです。


 先ほど申し上げた通り、祭りの間、あたしはそこにいなかったんです。何も話せることはありません。帰ってきたと同時に事件を知って、茫然としたくらい。


 なんであんなことが起こったかなんて、現場に居合わせた人たちに聞けばいいでしょう。……要領を得ない? 全員亡くなった? なら、迷宮入りということでしょう。あなたもあたしも、何一つ真実を知ることなく。


 チノーズ?


 あぁ、「地の渦」ですか。


 地元の人たちは「お母様」なんて呼んで信じているようですが、何せあたしは信心深い方ではありませんから、得体の知れないものに思いを巡らせるほど暇ではないんです。町を離れていたのだって、そんな信仰に巻き込まれたくはなかったからで。


 どうしてあんなものを崇め奉るのか、あたしには理解ができません。……だから免れたのかも知れませんが、今となってはどうでもいいことです。


 もう関係ないことなんです。分かっていただけたのなら、そろそろ解放していただけると有難いのですが。ご存じの通り、転居の準備で忙しいもので。それとも、まだ何か。


 …………。


 ―—は?


 いったい何を言っているんです? 縺翫m縺九b縺ョ縺溘■?


 何なんですか、それ、その顔。……あ、あたし、帰ります。やめて、着いてこないで――あたしはもう、こんな町とは関係な、








 あ、あ。


 どうしてこんな事件を調べているんですか。


 どうしてみんなから話を訊くんですか。


 狂ってる。みんなみんな、この事件に関わった人全員――あなたも含めて。やめてください、あたしはお母様なんて知らない、祭りなんて知らない。


 やめてください。


 やめてください。


 お願いですから、もうやめ





(記録はここで終わっている)。

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