…3ノ月14ノ日…


…3ノ月14ノ日…

 あの魔物に襲われた直後と比べて、一週間以上経った今、村はなかなか見られる姿になってきた…と思う。

 瓦礫を退かして、全壊に近い家を撤去して、新しく建てる家の形を建て始める。

 建て始めると言っても、まだ計画段階で、家の建設に取り掛かってる訳じゃないけど。

 人の少なくなった中で、これでも頑張ってる方だと思う。


 村が完全ではないにしても、元の姿を取り戻し始める光景は、胸が暖かくなるというか、ホッとする瞬間だ。

 そっちはきっと私がいるかどうかは関係ない。

 女である以上、力仕事が男の人よりも不得手って事も、理由のひとつだけど。


 昨日の今日だけど、やっぱりアムールさんの説得はうまくいかない。

 いつもより、スープに入れるお肉を増やしたり、ヒイキにしたりしてるけど、こんなちっちゃなことじゃ、やっぱり動かないよね。


 お母さんにも、お父さんを助けるために薬を探したい事を話してみたけど、やっぱり、あまり良い顔はしてくれなかった。

 でも、ダメ…とも言われなかった。

 少し考えさせてって、そう言ってお母さんはお父さんの眠る寝室へと姿を消した。


 その後ろ姿を見るのはとても辛くて、見間違いだと思いたいお母さんの肩の震えは、胸を強く締め付けた。


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