可愛い妹の可愛くなる弱点
拝啓、父様母様へ。
「ふみゅう」
私は今。
大学受験を控えいつもなら晩御飯も済ませお風呂も済んだこの時間にはもう部屋へ戻り、勉学に勤しんでいるそんな私は今……
「ほ、ほら。千代ちゃん寝るならお布団でね?」
「んにゅうぁー……ちこねーちゃすきぃー……」
「今までの人生で一番最高ですっ!」
顔をほんのりと赤くしたニコニコ笑顔の千代ちゃんに抱きつかれ、すりすりと全力で甘えられるという今までにないとろけるような最高の思いをしていた。
何故こんな事になっているのか、それは約一時間前に遡る────
ーーーーーーーーーー
「とーさまおかえりー!」
「おぉ、千代!ただいま帰ったぞー!」
「相変わらず仲良しだなぁ」
日ももう暮れて私達は夕飯にお風呂にと済ませた後、数日前にお仕事で都会の方へ 出ていた父様が帰ってきて、私と千代はいつものように元気に出迎えていた。
「んぅ〜。すりすり〜!」
「こらこら。千代、せっかくお風呂も済ませたのにまた汚れるから離れなさい」
「ぶー、父様汚くないもーん」
「ほら、お土産あげるから」
「むぅー、仕方ないなぁ。その代わり!ご飯とお風呂終わったら肩たたきだからね!」
「はいはい。それじゃあ千胡、済まないが先にお風呂済ませてくるからその間、千代のご機嫌取りは頼んだぞ?」
「ふふっ。はーい、分かりました。まあ、取るまでもないと思うけどね」
そしてその後「全く父様は」なんて言いながら嬉しそうな千代ちゃんの話に付き合いつつ、お風呂から帰ってきた父様に料理を振る舞い、皆でお土産のチョコを食べて暫くした後……
ーーーーーーーーーー
「ん〜♪おねーちゃんいいにおいする〜、すきぃ〜」
まるで猫が甘えるようにすりすりと頬ずりしたりと頬を赤くしてニコニコ笑顔で甘えてきている今に至ると言うわけである。
「んもー、嬉しいけど服はむはむしちゃだめだよー?」
「えへへぇ〜」
あーっ!ほんっと可愛いっ!いつまでもこのまま甘えて欲しいー!
「でも流石に千代ちゃんらしくないし、お土産に何かあったのかな?」
「……!おねーちゃどこ行くの〜?」
下から目線っ!可愛いっ!可愛すぎるっ!でも……
「ごめんね千代ちゃん、ちょっとだけそっち行かせてねー?」
「んーやっ!」
「きゃっ」
「離れちゃやーっ!」
チョコレートの箱を取る為に私が動こうとした時、私がどこかへと行ってしまうと思ったのか千代ちゃんに私は押し倒されてしまう。
「あいったたたー……もうっ!千代ちゃんダメじゃない、押し倒したりしちゃ!」
「あぅ……ごめんなさいぃー……」
「あぁぁあ!大丈夫!大丈夫だからねー!」
「ほんと?」
「うんうん!」
お腹の上で泣き目は反則だってぇ!……ってん?チョコレートの箱がこんな所に……そっか、今倒れた時の衝撃で机から落ちたのね。
「えぇっと何何……あー、そういう事かぁ……」
「んにゅー?」
「千代ちゃん酔っ払っちゃったのねー」
「よっぱらー?」
「そうそう、よっぱらー。お酒が入ってたチョコレートだったみたいだねー」
「おしゃけー」
「おしゃけおしゃけー。とはいえ確か千代ちゃん食べたのってひとつかふたつくらいだったよなぁ……もしかして千代ちゃん相当お酒弱いのかな?」
「んみゅー」
「酔いが覚めたらちゃんと注意して上げないとね」
「ちこねーちゃ、ぎゅーしてー」
だってこんなに可愛い妹なんだもの!お姉ちゃんが守って上げないとね!
そんな決意を抱きつつ、この夜私は千代ちゃんによって最高に癒されたのであった。
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