買い物と装備品
うぅー……あんの姉共めぇ……
「俺に全部押し付けて帰りやがって……後で絶対意地悪してやる」
千胡お姉ちゃんはとりあえず構って欲しそうにしてても無視、千保お姉ちゃんには単純に反抗してやる。
むっすーっと頬を膨らましながら片手に買い物袋、もう片手にメモを引っさげて市場に向かう道中、上手い具合に母様から逃げた姉二人に俺はそう愚痴を呟いていた。
でも最近母様も結構強引になってきたよなぁ……まさか朝のあのやり取りを理由にお使い頼まれるなんて思わなんだ。
「はぁー……誰にも会わないといいんだけど」
ブラしてるなんて知られた日には……多分男としての俺は死ぬ。
「でも確かにこれしてると楽なんだよなぁ……背筋が真っ直ぐになるというか、守られてるって感じがするというか。後擦れない、これ最高」
パンツはともかく元男としてブラにはこう、なんというか最後の抵抗的なのがあったけど、付けてると収まりがいいというか、いちいちぽよぽよしなくなるし楽でいいなぁ……
「男の俺には申し訳ないが、これからは家に引きこもる日以外は常用させていただこう……っと、着いた着いた。おじちゃーん」
「お!千代ちゃんいらっしゃい!今日は何をー……おや?」
「ん?おじちゃんどうしたの?」
「いや、なんだか今日の千代ちゃんは少し大人っぽいというか、スッキリしたというか……まぁなんだ、なんかいい方向に変わったぞ!」
こてんと首を傾げ何かに気がついた八百屋のおじちゃんに何に気がついたのかを聞いた俺は、おじちゃんのその言葉でひとつのことに気がつく。
あぁ、なるほど。今まで全然気にしてるって思ってなかったけど、俺自身気が付かない内に胸の事無意識に気にしてたのか。だからきちんと守られてる今は……
「ふふっ、おじちゃん。ありがとね!」
「お、おぅ……よっ、よーし!今日はいっぱいおまけしてあげよう!」
「えっ本当!?それじゃあねー……」
こうして、俺は新たな自信を得て最初の憂鬱と抵抗はどこへやら、悠優と、なんならスキップすらしつつ買い物へと望んだのであった。
そして案の定……
「まえが……まえがみえにゃぁぁぁ……」
おまけにおまけがおまけして前すら見えない程、俺は沢山のおまけと買い物で手に入れた物を抱え、ふらふらとしながらもなんとか家へと帰ったのだった。
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