例年通りのお仕事
夏休みも残すところあと一週間、そろそろ生活リズムを学校用のリズム……といってもお昼寝を我慢する程度だが、元のリズムへと戻し始めた俺は……
「さて、それじゃあいつも通り夏休み最後のお仕事。やっちゃいますか!」
「もう仕事扱いなのか……いやまぁ今年もやっちゃった俺が悪いんだけどさ」
「分かってるならよろしい。さて、とりあえず算数から始めようか」
「はーい」
毎年恒例である礼二の夏休みの宿題を見てやっていた。
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「よし、とりあえず算数と国語は終わったし今日はここまでね」
「だぁー!終わったぁー!」
「ふふっ、お疲れ様。ほら、作っといてあげたゼリー一緒に食べよ」
「待ってました!」
お昼から夏休みの宿題に取り掛かり、ちょうど眠気も過ぎ去ってしゃっきりしてくる午後三時というおやつの時間に今日のノルマを達成した礼二の前に俺はそう言いながらゼリーの乗った皿を置いてあげる。
「そういや、今日は勉強だけど俺達二人きりって言うの久しぶりだよなぁ」
「あ、確かに。最近はだいたい叶奈ちゃんか綺月ちゃんのどっちか……というか大抵どっちも一緒に遊んでたもんねぇ」
昔は基本的に二人きりだったのに、最近は他に誰か居ることが多くなったもんなぁ。
「そういや礼二、私が知ってる限りじゃ夏休み中あんた私達意外と遊んでない気がするんだけど、男の子の友達とか大丈夫なの?」
「いやー、それなんだけど。なんかアイツらといるより千代達と居る方が楽しいなぁって思ってさ。ほら、アイツらくだらない事ばっかりだろ?」
「あー……」
んまぁ確かにこの歳の男の子って下ネタとかイタズラとか、そんな事ばっかりだもんなぁ……それに、大体俺がなんか目新しい事ばっかりやる……というかやらかしてるから舌というか目が肥えてるのも原因なんだろうなぁ。
「ま、まぁもう小学校も私達六年生だしね。中学生になったら仲のいい男の子も作りなよ?」
「はいはい。で、そういう女帝様はどうなんだよ」
「うぐっ、まだ言うかコノヤロウ……」
「もうこれは伝説だからな。いつまでも語り継がれるぞ」
「どうやら貴様は明日の杏仁豆腐は要らないらしいな」
「ごめんなさいもう言いません」
「よろしい」
明日のおやつを人質に、早くもこの歳で生まれてしまった黒歴史を何とか広めまいとそう思いつつ、俺はもうそろそろ出来るであろう目の前で頭を下げる礼二の黒歴史をどうするか想いを馳せるのだった。
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