叶奈の親友

 おもちゃよし!準備よし!


「いってきまーす!」


「行ってらっしゃーい。気を付けて行くのよー」


「はーい!」


 土曜日のお昼過ぎ、いつも通り学校が終わり家えと帰った彼女はパパっと必要な物だけをバックへ突っ込み、友達の家へと立派な洋風の御屋敷から飛び出していくのであった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おじゃまするぞ!」


「あ、叶奈ちゃんいらっしゃーい」


「かなちー遅かったねぇ」


「仕方ないだろー?叶奈だけ二人とお家の方向違うんだもん」


 いつも一緒に帰ってるの羨ましいんだぞ。


 ぷくぅっと頬を膨らましながら、いつも通り千代の家へと集まった面々の中でそんな二人の親友を前に叶奈はそう思うのであった。


「ところでちよよん。もう大丈夫なのか?」


「ん?なにがー?」


「ほら、この間お店で倒れちゃったじゃん?あの後何日か学校休んでたし、先生に聞いても体調悪いだけって言うから心配してたんだぞ?」


「あーそれね、うん。ちょっと弱気になったりしたけど、もう大丈夫だよ…………まぁこれから毎月だけど」


「ん?何か言ったか?」


「んーん、なにも。それより二人共ノート見せてもらっていい?」


「勿論ー。はい、どーぞー」


「ありがとー」


「ちよよんは偉いなー。ちゃんと休んだ分もノート取ってて」


「ふふふっ、幾ら転生者チートがあるとはいえこういうのは習慣つけとかないとね」


「「てんせいしゃちーと?」」


 なんだそりゃ。


「気にしないで気にしないで。それより二人共、私が写してる間暇だろうしテレビでもみる?」


「「みるー!」」


 ちよよんの口から出たよく分からない言葉に叶奈達が首を傾げていると、ちよよんは少し汗をかきながらそう言ってポチッとテレビを付けてくれる。


「てっれびーてっれびー!」


 お家じゃお父さんがニュースばっかりみるからつまんないんだよねー。


「叶奈は野球とかが見たいぞ!」


「流石にこの時間にはあってないんじゃないかなぁ……っとと、ついたついた」


『えー続きまして、先日今年春から開催されていた大阪万博が終了し、毎日の様に賑わいを見せていた万博会場付近には約半年ぶりに静けさが戻ってきています』


「あー、大阪万博って昨日までだったんだ」


「あれっていつからあってたっけ」


「確か三月くらいからじゃなかった?」


「じゃあだいたい六ヶ月かぁ。結構続いてたねぇ」


「そういや夏休みの内に叶奈ちゃんこれ行ったんだよね?ねぇねぇ、どうだった!?凄かった!?」


「あ、それ私も気になる!」


 みやみやはともかく、いつもとは違って珍しく興味津々なちよよんを見て何だか得意気な気持ちになっていた叶奈は、ふふんと、そしてぽよんと胸を張りながら話し始める。


「まずいーっぱい人が居たぞ!それとあの太陽の塔っていうのすっごく高かったぞ!こう、ぐいーっ!ってしてもてっぺんが見えなかったんだ!」


「「おぉー。おっきい」」


「それでな!つきのいし?とかそんなのも飾ってあったぞ!」


「月の石!そんなものまで飾られてたのか……」


「えーっと後は……そうそう!ケータッキーフライドチキンっていう美味しい食べ物があったぞ!」


「けーたっきーふらいどちき……ちきん?」


「うわー!あれここで日本に来たのか!うわーなんか感動が……あっ」


「……あー、そのー……ちよよん?」


「ちよちーその、けーたっきー?っていうの知ってたの?」


 そう叶奈達二人がちよよんに問いかけると、ちよよんは傍目から見ても分かるほどダラダラと汗を流し、やらかしたと言わんばかりの表情になっていた。


「ま、まぁね!親戚に行った人がいてそこから聞いたんだー!あはははは!と、とにかく、英語写し終わったから次!叶奈ちゃん社会みせて!」


「うぇっ!?」


 や、やばい……!遊ぶ方に夢中でお家に忘れてきちゃった……


「え、えと、その……そうだ!二人共、明日明後日暇か!?」


「え?う、うん。暇ー、だけど」


「私も暇だけど」


「そ、それじゃあさ!明日お勉強も兼ねて叶奈のお家でお泊まりしよ!」


 そしてそんなちよよんに話を振られた叶奈の提案により、明日から数日、叶奈の家でお泊まり会が開催されることになつたのてあった。

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