楽しい楽しい夏祭り
ぴーひゃらぴーひゃらと響いてくる祭囃子!
購買意欲を掻き立てる屋台の匂いと呼び込み!
そしてガヤガヤと賑やかな活気ある祭り会場!
「これだよこれー!やっぱりお祭りは途絶えさせてはならない良き文化だー!」
「おー、ちよよんいつにも増してはしゃいでるなー」
「ちよちーお祭り大好きだもんねー」
「うむ!私はお祭りが大好きだ!」
普段風呂上がりに着てるような浴衣とは違う、綺麗な出歩き用の浴衣を着た俺達は毎年恒例夏祭りの会場である綺月ちゃんの神社に集まっていた。
「にしても、前のお祭りまでは誰かしらのお母さんが着いてきてたのにな。叶奈達だけでお祭りは初めてだ!」
「そういや確かにー、ちよちーはー?」
「私もだよー」
なんたって三歳の時に泥棒捕まえる為に危ない目にあったからね、あれ以来お祭りに行く時とかは絶対に母様着いて来るようになったのだよ。
「さて、それじゃあ二人共そろそろいこ?いつまでも礼二だけ一人で待たせちゃ可哀想だ」
「だね」
「だな」
俺達は顔を見合わせそう言い合うと、からんころんと下駄を鳴らし、礼二との待ち合わせ場所でもある祭り会場へと歩いていくのだった。
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「……遅いなぁ……何してるんだろ」
探してる探してる……!
「あ!いたいた!おーいれーたろー!」
「やっと来たー、遅いよ皆ー」
「ごめんごめん、走ってくるわけにも行かないからさ。というかその狐のお面似合ってるなれーたろー!」
「そ、そうかな」
む、こいつ、いっちょ前に褒められて照れ照れしやがって……なんかムカつく。
白に赤の模様が入った狐のお面を叶奈ちゃんに褒められ、照れている礼二に俺が何故だかむっとしていると、俺がいない事に気がついたのか礼二はキョロキョロと辺りを見回す。
「あれ?千代ちゃんは?二人と一緒じゃないの?」
お、やっと俺がいない事に気がついたな。そっと、そーっと近づいてー……
「ちよちー?ちよちーなら……」
「千代ちゃんなら?」
「暴いてやる!」
「うわぁっ!?千代ちゃん!?」
この驚き様……決まったな!某有名ゲームの有名ゼリフ!一度やって見たかったんだぁー!
「まぁこの時代じゃあ誰も知らないんだけどね。どうどう?びっくりした?」
「びっくりしたよぉ!千代ちゃんのいじわるー!」
「あはははは、スーパーボール掬いの極意を教えてあげるから許して礼二」
セリフと共に礼二の頭から奪い取った狐のお面でいかにももう一人の内なる自分を召喚しそうなポーズを取りながら、満足した俺はそう言ってくる礼二にお面を返してあげる。
「それじゃあ遊びに行こっか!」
「「「うん!」」」
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「とこんな風に、スーパーボール掬いは如何に紙に負担をかけないでポイの縁にスーパーボールを引っ掛けて取るかが大事なのです」
「そうだったのか!」
「それさえ出来れば俺もそんなに沢山取れる!?」
「取れる取れる」
「よーしやるぞ!」
「叶奈もやるー!」
うんうん、何事も挑戦からだ。
「にしてもちよちー、それは取りすぎじゃない?」
「正直ここまで取れるとは思ってなかったよ。でも元から二、三個貰って後は返すつもりだったから。返してもいいよね?おじさん」
「そうしてくれるとありがたいな、花宮さんとこのお嬢ちゃん」
俺と入れ替わりでスーパーボール掬いを始めた二人の横で、俺は屋台のおじさんに念の為許可を取り、大きな籠三つ分山盛りのスーパーボールを元あった水槽に返していく。
ちなみに数は途中一籠超えて百五十辺りから数えてない為、詳しい数は自分でも知らない。
「もちよちーにそんな特技があったなんてねー。ちよちーのお家はお母さんがお母さんだけにちょっと以外」
そりゃあモロ前世の記憶と経験からの技だからーなんて言えないし、とりあえず……
「いとこのお兄ちゃんに教えて貰ってたから、やり方は知ってたんだ」
という事にしておこう。でもまぁ久しぶりにやったけど上手く行って良かったよ。
「へー。それじゃあさ、ちよちー他にも色々出来る?」
「他にも?」
「うん!射的とか輪投げとか、あとくじ引きとか!」
「うーん……」
コツは知らなくもないし出来なくは無いからやってもいいんだけど……これ以上悪目立ちするのはなぁ……
目を輝かせた綺月ちゃんにそうお願いされた俺は、腕を組んでそう思い、一応もう一度と確認する為にちらりと後ろを見る。
するとそこには俺がスーパーボールを掬ってる最中に確認した時よりも人が集まっており、正しく肉の壁になって屋台を取り囲んでいた。
でもまぁ、せっかくの夏祭りなんだ。
「いいよ!教えてあげる!」
「ほんと!?やったー!」
そうと決まれば……
「ちよよんみたいに取れなかったー」
「難しいー」
「二人共!次行くよ次!」
「ごーごー!」
「「えっ、ちょっ!待ってー!」」
祭り屋台、遊び倒すぞー!
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