仲良し三人
「それじゃあお姉ちゃん達、またねー」
「またねー」
「ほーい」
学校にたどり着きそう言って二年生毎に分けられた学年棟へと向かうべく、お姉ちゃん二人と別れた俺がまだまだ硬い赤色のランドセルを揺らして自分の学年棟へ向かい始めた。
その時────────
「「千代ちゃーん」」
おっ、この声は……
「おはよー二人共」
「おはよー」
「はやーう、元気してたー?」
「してたしてたー。二人はー?」
「私もー」
「叶奈も元気してたぞー!」
後ろからそんな風に親しげに声をかけられ、俺は春休み前に会ったきりだった大切な友人二人と再会を果たしたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「でねー。お正月忙しくってー」
「みやみやのお家神社だもんなー」
久しぶりに会えたけど二人共元気そうでよかった。いくら黒電話があるのが俺の家だけとは言え、春休み中結局連絡つかないで一度も会えなかったからなぁ。
「ちよちー、聞いてるー?」
「あ、ごめん、二人が元気そうでよかったと思って聞いてなかった」
俺が相槌を全くして無いのに気がついたのか、楽しそうに話しながら俺の前を歩いていた友人にそう聞かれ、俺はいつも通り正直にそう返す。
「あー、確かに。そういえば春休み中一回も会えなかったもんなー」
「ねー」
「でもそれを言うならちよよん、そっちこそ元気そうで良かったぞ!ちよよんは体よわよわだからな!」
「あはははは……」
ニコニコ笑顔でそう言って来るのは伊部叶奈ちゃん。
俺の住んでる側とは対岸に住んでいる明るく元気で前向きな俺達三人組のムードメーカー、運動が得意ないつもトゲトゲ跳ねているショートヘアがチャームポイントな可愛い奴だ。
「でも本当だよー。そういやちよちー、今日はれーくんどうしたの?」
「あー、礼二?あいつねー、今日は風邪ひいちゃってて」
「あらそれは大変、早く治るといいね。お大事にって伝えておいてくれない?」
「うん、任せて」
俺がそう言って頷くのは宫神宮綺月。
とっても優しいおっとりのんびりのほほんとした可愛らしい子であり、この街の山にある神社の神主さんの一人娘である。そして俺と同じくらいの長髪にタレ目な女の子である。
ちなみに叶奈ちゃんによると俺は「眠たそうなタレ目」で綺月ちゃんは「優しげなタレ目」らしい。
「そういや今日の入学式、上級生は片付けあるらしいけど私達下級生は帰っていいらしいよ」
「お!運いいなー!それじゃあ今日は久しぶりに皆で遊ばないか?」
「いいねー。今日やる事なかったし、私は全然大丈夫だよ」
それにどうせ家に帰っても暇をつぶせるものも無いしね。
「私もー、場所はどーするー?」
「いつも通りみやみやの神社で!何をやるかは現地集合してから!」
こりゃあ、今日は野山を駆け回る事になりそうだしズボンが良さそうだな。
そうやって楽しげに俺達がキャッキャと盛り上がっていたところで、ガラガラと木製の戸を開けて先生が教室に入ってくる。
「うーし、それじゃあ皆、体育館に行くからなー?大人しくついてこーい」
「「「「「「「「はーい」」」」」」」」
「それじゃ二人共、行こっか」
「はーい」「おーう!」
こうして俺達の最初の一日は過ぎていくのだった。
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