幼女最初の晴れ舞台
「ひぃ……ひぃ……はぁ……ひゅう……」
元から…………体力……ないのに……これ…………着物で……足……上げにくいし……階段で……更に…………
「あぁ……やっぱり辛かったか。ほら千代、ちょっと止まってご覧」
「お、おじいちゃん……なぁに?うわぁっ!」
びっ、びっくりしたぁ……
「よーいしょっと、千代も重くなったなぁ」
「えへへへへ♪おじいちゃん大好きー」
「千代いいなー」
階段の途中、息が切れ切れになっていた俺を見たおじいちゃんに腕にお尻を乗せるようにして抱っこされた俺は、おじいちゃんの襟をぎゅっと掴んで落ちないようにする。
「お義父さん助かります。だけど張り切りすぎて腰を痛めたりしない用、気をつけてくださいね?」
「はっはっはっ!俺ももう歳だがせっかくの千代の初めての晴れ舞台だ、老体に鞭打ってでも頑張るさ」
「おじいちゃん、無理しちゃダメだよ?」
「任せろ任せろ!」
「おじいちゃん私もー」
「すまんな千胡、流石におじいちゃんは千代だけで精一杯だよ。頑張ってくれるかい?」
「千胡はお姉ちゃんだから頑張れるわよね?」
「お姉ちゃん……!うん!アタシお姉ちゃんだから頑張る!」
チョロいなぁ、このお姉ちゃん。
そんな風にお喋りしながら、俺は1番上の姉と母様、そしておじいちゃんの四人で七五三の会場であるこの街の神社へと向かっていたのだった。
ーーーーーーーーーー
「────恐み恐みも乞願奉らくと白す」
祝詞って記憶にある中じゃ初めてちゃんと聞いたけど、改めて聞くとこんな感じなんだなぁ……なんだか色々と不思議な感じだったな、うん。
「それでは、下の子から外に出てください。出たら入口の所にいる巫女さんから千歳飴を貰って、真っ直ぐ親御さんの元へ戻ってくださいね?」
「「「「「はーい」」」」」
祝詞を終えた神主さんのその言葉に子供達は元気に返事を返し、早く走り回りたいとばかりに次々と我先に部屋から飛び出して行くのだった。
「なんか凄かったね千代!」
「ねー!」
「お、おったおった。こっちだぞ二人共ー」
「「あ、おじいちゃん」」
「ちゃんと大人しく聞いてた二人共?」
「うん、聞いてたよ!」
「私もー」
まぁ他の子がなんかソワソワしてて俺は集中出来なかったけどね。三歳児はじっと出来ないって改めて分かったわ。
「ちゃんと千歳飴貰えたかい?」
「うん、貰えたー」
「よしよし、千胡も食べるのは家に帰ってからにしような」
「「はーい」」
この後家に帰った後父様に写真を沢山撮られたり、案の定兄に千歳飴を取られかけたりしたが、こうして俺は無事女の子として七五三を迎えたのだった。
そしてあっという間に時は過ぎ去り────
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