第20話 俺は最強の中二病なんだろ?

「兄さん正気ですか?」

「日本の学園を攻撃したらドイツと日本の国際問題になりますよ!」


確かに、これはドイツから日本への先制攻撃と捉えられても仕方がない。


「いいんだよ、レナが鳳くんに取られるくらいなら全て壊れてしまえばいい!」

ノアはそう言い残すと意識を失った。


会場は大騒ぎになっていた。

「もう、終わりです、、、何もかも」

一ノ瀬は両膝をついて崩れ落ちていた。

シスコン、、、自分の兄さんのせいで日本とドイツが戦争状態になるかもしれないんだ。


「鳳くん、早く避難してください!」

学園の先生からも非難の指示が出ている



でも、本当に逃げていいのか?

目の前にいる一ノ瀬を泣かせたまま、これからくるであろう残酷な未来に対して

俺は何もしなくていいのか?


俺は史上最強の中二病、、、歴代最強の魔法使いじゃないのか?


「、、、俺は逃げない」


「鳳くん!何を言ってるんですか!」

「これは私の身内が起こしてしまった問題なんです、無関係な鳳くんが危険に遭うことはありません!」



一ノ瀬は俺の肩を掴みながら、泣きながら説得してくれる。

今、気づいたけど一ノ瀬は強くて、美しくて、優しいんだな。


俺は一ノ瀬の耳元で語りかける。

「大丈夫だよ一ノ瀬、俺がなんとかするよ」

「一ノ瀬は俺の大切な人だからな」



「鳳くん、、、ありがとう」


「でも凛、相手はミサイルなんだよ?」

「どうするの?」

結衣も不安そうに俺を見ている。



「大丈夫!俺にはまだ奥の手があるからさ」

俺は珍しく強がってみた。

こんなに不安そうにしている女の子にカッコつけたかったんだ。



「魔力全集中」

俺は意識を最大に集中させる。

イメージするのは最強の弓。

これも過去の黒歴史ノートのアイディアの一つだ。


どんな遠距離攻撃も燃やし尽くして、打ち落とす俺の第3の武器。


魔力によって生成された弓に赤く光り輝く矢がセットされる。

その輝きは美しく、会場にいる人は目を奪われた。


そして、俺は極限まで魔力を込めていく。

魔力を込めすぎると意識を失うが、

この際、ミサイルを破壊できれば意識なんでどうでもよかった。


「あり得ません、なんですかあの矢は!」

どうやら先生から見ても矢に込められた異常な魔力はわかるようだ。



「凛、ミサイルが来るまでもう時間がないよ!」


小さいけど肉眼でミサイルが確認できた。

正直、一か八かだけどこの矢にかけるしかない。


一ノ瀬は泣きながら、結衣は不安そうにしながら俺を見ている。

「そんな顔するなよ、一ノ瀬、結衣」

「俺は最強の中二病(魔法使い)なんだろ?」


そして、矢は放たれた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る