こんな俺でもまともな恋愛できますか?

阿久津さくら

プロローグ 絶対絶命

11月某日

「明治神宮大会高校生の部決勝戦もいよいよ大詰め。9回裏1アウト満塁 1点リードを守り切れるか、星嶂学園、勝負を決めるか、花巻西高校、運命の打席」


「4番 ピッチャー 佐々木くん」

 2ー1で俺たちがリードしている状態で佐々木祐希に打席が回ってきた。彼は、来秋ドラフト1位有力の最速156km/hを投げるピッチャーであり、高校通算40本のホームランを打ったスラッガーでもある。俺たちが今年の夏の甲子園で対戦したときには、完封と3本のホームランを打たれた天敵だ。

 対するうちのピッチャーはエースの石黒貴也先輩。先輩は多彩な変化球でゴロの山を築く変則左腕だ。





 運命の第1球目 

ズバッ!  

「ストライク!」

アウトローのスクリュー、先輩の伝家の宝刀だ。初球から使ってくるということは相当警戒している証だ。2球目、3球目は共にインコースのストレート、どちらも3塁線を切れるファールだった。カウント2ー0からの4球目、もちろんスクリューだ。しかし、

  



   カッキーーーン!!

佐々木の打った球はライト、俺が守っている位置へ飛んできた。意外にも伸びがなかったため、捕球は楽だった。すると、3塁ランナーがスタートを切った。




(お前らに点はやらん)

そんな思いで俺はホームに投げた。矢のような送球はキャッチャーのミットに吸い込まれていった。ランナーのスライディングとキャッチャーのタッチはほぼ同じタイミング、判定は

  







   「アウトー!」

これでゲームセット、俺たちの優勝だ。

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