　手順が分かっている以上はそこまで時間のかかるものでもなく、身代わり装備を回復する瞬間はあの全ての攻撃を反射するバリアが剥がれるというのも分かっていたので、戦闘時間はおよそ２時間ほどだったらしい。

　私は念の為仮眠せずに起きていたんだが、ゴン！！！　と大きな揺れと共に再び最初の部屋に戻されていた。部屋の中を魔視と手探りで確認、変化は無いな。入り口に出ている警告も変わらない。

　という事で外に出て、ステージの端に向かう。あ、ちゃんとコツは聞いておいた。どうやら最初の１時間は特になんだが、分かれ道を２つ戻って解除する、つまり、交互または歯抜けになるような形で解除していくといいらしい。

「確かに、一度目に回収されるのは分かれ道まで。そこでぶつかりさえしなければいいなら、単純計算倍回収できますね」

　なおかつ今回は回復も他の人に全面的に任せた事で、私が最初の１時間で解除出来た「多数生物の立体パズル（罠）」は７個となった。今回は場所も良かったし、ちゃんと頑張って耳を澄ませることで鉢合わせを避けたからな。

　ただそれでもステージの端を全部回るというのは厳しかったらしく、同じく３時間で回収できた「異界の大神の小さな像」は９４個。６個間に合わなかったか。仕方ない。

　今度もまた司令部によって用意されたグループ分けとクジ引きによって、人形攻略のメンバーが選ばれた。そして彼らが人形と戦っている間、行かない組は仮眠を含む休憩だ。

「……なるほど。あの揺れは、仮眠している召喚者（プレイヤー）を強制的に起こす効果もあったんですね」

　たぶん途中で人形は倒されるだろうなと思いつつテントでの仮眠を選択したんだが、ゴン！！！　という揺れと共に起きると最初の部屋で、なおかつ目の前に『空間遷移が発生した為、仮眠を中断します』というメッセージウィンドウが開いていた。

　まぁそれは分かっていたので問題ない。と、魔視と手探りで部屋の中に変化が無いを確認して、再びステージの端へ向かう。そして同じく３時間で集められた「異界の大神の小さな像は９５個。んー、最後の数個が詰め切れないな。

　そして今回行方不明になった人数は８１４人。やっぱりそういう法則か。推測通りだし、ある意味分かりやすくていいけど。

「いっそ百個全部集めたら全員で移動とかになりませんかね」

「なるといいですね」

　ちなみに、可能性的には割とあり得ると思う。いくらなんでも難易度が高いというか、あと数個がどうしても間に合わないっていう辺りのバランスが。

　ただ司令部の人というか、地図を統合して確認している人曰く、人数の減少に伴ってステージの大きさも小さくなっているらしい。つまり移動時間が減るって事だ。

　それに生物の立体パズル（罠）の解除はかなり良い魔力制御の訓練になる。という事は、数をこなせばこなすほどに解除までの時間は縮む訳だ。私だけではなく、解除に回った全員が。

「……回復の方もスキル上げに良い筈ですし、移動先も加速状態とは限りませんから、急ぎたいところです」

「そうですね」

　１回のステージのクリア時間は約５時間。１回目の人形戦でちょっと手間取ったが、それでもまぁ４時間はかかっていない。だがこの４回目の攻略で人形討伐に移動組が出発した時点で、おおよそ１８時間が経過している。

　人形討伐は大体２時間で安定してるから、終わる頃には２０時間が経過するだろう。加速状態で残り３日になったところからだから、そろそろ加速状態で残り２日になる。

　加速状態はリアル１時間が３日になる。つまり、フリアド内の通常空間４時間が加速状態３日。だからもし移動先が通常空間と同じ時間の流れだと、かなりクリアは無理な気配がする訳だが……流石にここから更に時間加速はしないだろうしな。

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