第2670話 73枚目:現状把握

 さてうちの子と感動の再会をした後エルルの様子を見に行って、こちらに来ていた竜族の軍にいいように使われていたので回収。皇女わたしが姿を現して「私直属部隊の隊長をよくまぁ便利屋みたいに使ってくれましたね?」とにっこり笑顔で言ったら可哀想なぐらいビビり散らしていたが、それはもういいとして。

 案の定加速空間に来てからまともに寝ていない(証言:サーニャとヴィントさん)エルルを強引に寝かしつけ、こちらに来ている司令部の召喚者プレイヤーがまとめた情報を確認する。掲示板が使えるようになったから、全体連絡スレッドが稼働してるんだよな。



 それによると、住民の仲間が突入した時点で既に国境には辿り着いていたらしく、突然現れた集団に対して敵も味方もかなり混乱したようだ。ただまぁ、時代的にはエルル達がいた時代だからな。最前線に来ているのは精鋭だけあって、実質第7番隊が揃っているのを見て、応援だと理解してくれたらしい。

 そこからエルルが(元)第7番隊隊長として諸々交渉。召喚者プレイヤーについての説明もした上で、未来がどうのとかそういうのは良い感じにボカしてここで引き上げるか手を緩めるとまずい、と説得してくれたんだそうだ。

 とはいえ、竜族、不死族、御使族は、本来国の大きさを元に戻したら撤退する予定だった。そこを他の召喚者プレイヤーと一緒に突入していた『勇者』とかも一緒に説得してくれて、規模は縮小して同行を継続してくれることになったらしい。



 もちろんその情報は連合軍全体に共有され、その結果、少なくとも国の中央である首都には辿り着かないといけないだろう、という結論になったようだ。まぁ元々が周囲に侵略してきた国だし、支配されていた国に対する弁償をする訳がないっていうのも共通認識だったらしいから、分捕らないと被害者が泣き寝入りする事になるのはちょっと考えれば分かる事、との事。

 それでもまぁ相手と同じになるのはちょっとって事で、出来るだけ相手に被害を出さないようにしつつ少しずつ国の内部に進んできて、今首都まであと街が1つの距離まで辿り着いたらしい。……1ヵ月ぐらいでそれぐらい進めるって事は、元は割と小さい国だったのか?

 ちなみに司令部によれば、色々資料を探した結果、本来の流れでも一応首都までは迫っていたようだ。ただし辿り着いたというか、首都を囲んだところでXデーもといあの世界規模スタンピートが発生したようだが。


「どう考えてもそのタイミングだと時間切れですよね?」

「なんで、斥候組が頑張って探索してる」

「時々死に戻ってくるけど、一応首都の中には入れてるっぽい」

「たぶん一番適性あるの、ちぃ姫んとこの子守りドラゴンなんだけどな」

「あちこちとの交渉と調節で働いてたから……」

「実質雑用させられてたんで回収してきました。休んで回復したらいけると思います」

「あの忙しそうなの雑用だったん?」

「戦力的な無駄が過ぎやしねぇかね連合軍よぉ……」


 なおその斥候組曰く、首都はあちこち突破不可能な防御が張られていて、周辺の町を陥落させるたびにその防御が減るらしい。ので、このメインになっている集団だけではなく、他の場所にも戦力は散っているとの事。

 ……既に1ヵ月経過していて、残り2週間か。既に大分ヤバい状態になってるのは気のせいだろうか? 少なくとも、異世界と何かを繋げる事はしているんだし、その儀式場の準備ぐらいは終わっていそうな感じがするが。

 まぁ召喚者プレイヤーの斥候組もその辺は分かっているだろうし、だからこそ先行して首都に潜り込んでるんだろうけど。そもそも、どういうマイナーチェンジもとい人工的な進化をしたのかも結局不明なままだしな。

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