第2623話 73枚目:4回目スタート
どうやらタイミング的に、アレリーと白い石のステージに行っていた人が戻ってくるちょっと前に私がクリアした事になるらしく、ほとんどの人はワタメミのステージに行ったところらしい。
まぁワタメミのステージをクリアして加護を貰ったのが私だけというのは変わらないので、素直に司令部と御使族の人監修の下で神殿を建てる。ステータス的には重機通り越してるからな、私。
とはいえそこそこ時間がかかるもので、3割ぐらい作ったところでベテラン勢が戻って来て加勢してくれて、通常時空で5時間ぐらいしたところで神殿は完成となった。
「悩んでいた時間も含めて残りリアル80分ぐらい……次の神殿も建てないといけない事を考えると、最短クリアでもかなりギリギリなのでは」
「あれ、ちぃ姫ちょいちょいログアウトしてなかった?」
「夜に4時間残すとそうなるんですよ」
「あーなる」
「そうか、日付変更線越えたらアウトか今回」
「改めて考えるとほんと時間ヤベェな」
みたいな会話をしながらも、次のステージへ突入である。時間が無いからね。ほんとに。マジで。
さて残る「モンスターの『王』」は2体。同時出現して同時撃破する案件だったからどっちが来るかな、と思いつつ突入した。
ら。
「おわっ!?」
ドォン!! と、いきなり爆発音が聞こえたから驚いたよ。何事?
と、思った直後にばたばたと慌てた様子の人が私を通り抜けていった。ははーん。また幽霊状態なんだな。むしろ最初のレーンズの時が例外だったと思うべきか?
周りの人の邪魔に(物理的に)ならないのであれば、ゆっくり周りを観察する事も出来る。さて、と改めて周りを見回すと……。
「……野戦病院?」
床に一面と言えるほどの人数が寝ている怪我人達。意識のある人は壁際で半身を起こして少しでも場所を開けているようだ。そして僅かな隙間を、包帯やタライ、薬らしき瓶の箱を持った人達がひっきりなしに移動している。
幽霊状態である私は人をすり抜ける。それが分かっていても人を踏まないように移動して、開きっぱなしの扉から外を目指して移動。……廊下も怪我人でいっぱいか。毛布を体に巻き付け、壁にもたれかかって寝ている、というより気絶している人も多い。
移動している間も、ドォン!! という爆発音は散発的に響いている。たぶんこれは、そういう事だよなぁ、と予想しつつ、出入りが激しいからか開きっぱなしになっている外への扉から出ると。
「あー……辛うじてこちらが防衛出来ている、というだけの感じですね……」
そこにあったのは、戦争だった。
どうやらここは市街地だったらしく、大半は残骸になっているが建物が並んでいた。振り返って出てきた建物を見れば、教会に近い形をした建物がある。恐らくはこちらの世界における神殿なのだろう。
元々備えられていた石壁を、焦げていたり不揃いな石材、たぶん周囲の建物の瓦礫で補強して外からの攻撃を防いでいる。ドォン!! と爆発音が聞こえた方向を見ると、どうやらだいぶ汚れ痛んでいるが、防衛兵器として大砲があるようだ。
「まぁ元々ここにあった訳がないでしょうし、たぶんどこからか引っこ抜いて持ってきたんでしょうけど」
しかし、こっちでは火薬が発達していたのか。……と思ったんだが、よく見たらその周囲では火を使っていない。そして大砲のそばに脂汗をびっしりかいた人がいて、根元のところに両手を押し当てているから、あれはどっちかというと、杖と同じく、魔法を増幅して発射するものらしい。
そうこうしている間に、入れてくれ!! という叫び声が聞こえた。それに応じて正面の扉、閂が掛けられた石壁相応の大きさがある扉が開かれ、どっと大勢の人がなだれ込んできた。
もちろんすぐに扉は閉じられたが、その向こうに見えたのは、一言で言うなら異形の群れだった。見た感じの特徴はゾンビに近いんだが、その元になった種族が、あれは……ワーム系でいいのか? なんか節に見えるところから分離したり合体したりしてるけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます