第2621話 73枚目:異常収束
さてワタメミによる浄化があらかた終わり、私の魔視でも推定名前の無い邪神(の眷属)の力が、原因だろう眷属だけになったところで、……イゴールじゃないな。イーゴルだ。村の狩人だったという男の所へ移動した。
ただそこで分かったのは、既にイーゴル本人は死んでいて、その死体に名前の無い邪神の眷属が寄生してる状態だったって事だった。そうか。本人じゃなかったのか。
死体を利用していたって点はワタメミ的にもお怒りポイントだったらしく、鈴の音で邪神の眷属は追い出されていた。それでも鈍い動きで逃げようとした辺り本当にしぶといが、まぁ逃がす訳がないよな。
「[シールキューブ] [シールキューブ] [シールキューブ]……こんなもんですかね」
「わぁ……使いさん、すごーい」
ぽいぽいと封印魔法を重ねて厳重に封印する。すごいのは君だよワタメミ。まさかここら辺一帯が全部綺麗になるとは思わなかった。……もしかして、3代目としてあの岩山の力を引き継ぐ予定の白い石と互角って事か?
もうすでに完成された信仰基盤に引継ぎボーナスがある白い石と互角の
ともあれ、邪神の眷属を追い出して封印して、ちょっと考えてから私はイーゴルという狩人の死体も封印した。ワタメミは不思議そうな顔をしているが、私は今幽霊状態だからな。
「私は自分のものにしか触れませんからね。このままここに放置していく、というのも後味が悪いですし」
「! そっか、使いさんありがとう!」
封印すれば、その魔法を動かすことはできる。流石に、寄生されていた分軽くなっているとはいえ、成人男性だからな。ワタメミには運べないだろう。かといって、直接担ぐ事は出来ないからな。
と言う事で、何十にも封印された邪神の眷属と、棺に納められたような形の死体を持って村へ戻る。お、村人の顔色も良くなってるな。……ふむ。地面にめり込んでいた人も、ギリギリ生きているようだ。
流石にイーゴルの死体が、透明な箱に収まって宙に浮かんで勝手に動いている、っていう図はインパクトが強かったようだが、ワタメミの説明によって納得してくれたようだ。
「使いさん、墓地はあっちだからね、そこに棺を持って行くから、その横に降ろしてほしいの」
「分かりました」
会話の内容は全部聞こえていたんだが、一応私からちょっと離れたところで話をしていたからな。その辺は合わせるぞ。それにワタメミの力は強かったが、昼過ぎから恐らく現在おやつ時ぐらいだ。そこそこ時間はかかっている。
それだけの時間踊りっぱなしだったという事なのだが……ワタメミの体力は底なしなのか、疲れた様子が無いんだよな。もしくは上手に隠しているだけなのかもしれないが、息1つ乱れてないっていうのは。
……
「使いさん」
そして葬儀が終わる頃には太陽が沈みかけていた為、もう1泊だけする事にしたらしいワタメミ。強い吐き気をもたらすせいで食べられなかった食料の内、傷みかけていたものを盛大に使った宴が催された中で、今度もしっかり踊っていたのを見た後だ。
村人達は寝静まり、私もテントを村の端に設置して寝る(時間を飛ばす)かと思ったところに、ワタメミが寄って来た。どうした?
「えっとね、今回のお礼したいんだけど……その、使いさんって、メミと似たような力、持ってたりする?」
「……。広い範囲に影響を与え、体力等を分け与える力なら持っていますね」
なるほど報酬タイム。
……だがこの話の持っていきかた。まさか、【調律領域】が更にぶっ壊れ性能に、なる……?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます