第2547話 73枚目:集めた結果

 流石に集める数が数な為、ログイン時間中に「太平の夢」と「幸いの残滓」を元とした「亜神の大きな欠片」を10個集めるのは無理だった。それでも7個にはなったんだからすごいんだけどな。

 ただ、そこで御使族の人達から要請があり、私が聖地の島に移動して、「亜神の大きな欠片」を10個にしてみる事になった。そうだな。聖地の島にも「亜神の大きな欠片」があるからな。

 内部の属性というのも気にはなるが、大きな欠片を集めたら変化するという「一部」とやらの確認が優先って事なのだろう。私も、聖地の島で御使族の人達がいる状態で確認できた方がいい、というのは同意だったので、素直に移動したし持っていた分は出した。司令部にも話が通ってたし。


[アイテム:亜神の一部

説明:神に届きうる素質と功績を示した何かの一部

   たくさん集めると……?

詳細:10の倍数の数を集めるごとに変化する

   千個集める事で神の欠片に変化する

   これを素材として作った道具は成長する]


 ちょっと待て。


「……神の欠片?」


 思わず口から零れたが、御使族の人達のざわざわは、どっちかというと予想が当たった、って感じなんだよな。やっぱり何かしら情報があった方のパターンか。

 しかし、これを千個集めてまた欠片っていうのは、流石に遠いとかいう話じゃないぞ。今は復活レイドボスが山ほど出てくるが、普段なら「大神の悪夢」から1体ずつ再現レイドボスを倒して、なおかつレアドロップを狙わなきゃいけないんだから。

 それでも、まぁ。恐らくは、そこに届く手段がある、って時点で案件ものなんだろう。届くものではないからな。ちょっと召喚者プレイヤーの感覚がズレてるだけで。もちろん、実際届いてもそこには歴然とした差があるんだろうが。


「それでも、ルートがあるって時点で規制ものなのでは? それこそ邪悪な奴に使われたら、邪神が増えるって事でしょうし」

「まぁ、だからこちらで引き取る方向に進めようとしている訳であるな」


 ざわざわしている御使族と元『本の虫』組の人達を眺めながら首を傾げていたら、「第一候補」がやってきた。あぁ、引き取る方向なのか。まぁそれはそうだな。


「成長する武器が作れるという事ですし、全部集めてしまうのは無理でしょうけどね」

「で、あるなぁ。警戒対象が増えて忙しくなりそうである」

「一応私からも竜皇様おとうさまに報告を上げておきましょうか?」

「出来れば頼むである。邪神にはならなくとも、破壊の神や争いの神になられるだけでも頭が痛い故な」


 無理だろうけどな。それこそ「吸血」や「吸魔」の特性がついた装備と一緒で、出回る前提で警戒するしかないだろう。

 それに、「夢」アイテムと「残滓」アイテムを「亜神の欠片」にしたり、欠片を大きな欠片にするには、基本的に御使族の人達か、少なくとも上位神官に相当する人の協力が必要だ。そう言う意味では安心だろう。

 一部、その辺全部スルーして独力で「亜神の一部」から「神の欠片」を作ってしまいそうなやつはいるが、それだって流石に時間がかかるだろうし。


「それに、流石に「神の欠片」になれば探知できそうですし」

「そうであるな。というより、「亜神の欠片」が出来た時点で感知していた故に動きが早かった、という部分もあるである」

「なるほど」


 そう言う事らしいので、御使族の人達における警戒対象は増えてしまうが、一応は大丈夫らしい。なるほど、感知できていたから連絡を入れた時点で『巡礼者の集い』の人が動けたのか。あの人達も忙しい筈だからな。主に力場的浄化とか、状態異常の治療とかで。

 なお感知できていたものの、神官関係の協力が不要で「亜神の欠片」が出来た私のインベントリは、御使族公式の例外。本当にどうしてこうなったんだろうな? 未だに再現できた人がいないって話なんだけど、初期ボーナスが積み重なって斜め上のルートに進んでたりするのか?

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