第2527話 73枚目:攻略と得るもの

 で、結局ログイン時間で10時間、ぶっ続けでブロックの攻略補助を続けたところ。


「まさかの強制退出だった上に住宅地パネル(仮)が崩れてくる中に放り出されるとは思ってないんですよ。ルイシャン、助かりました」

「ピューィ!」


 たぶん座標だけ見て転移させられたんだろうな。ブロックのお代わりがようやく止まって最後の1個をクリアさせたら、いきなり足元が光って転移させられた上に空中だったよ。先に脱出していたらしいルイシャンがその速度で拾ってくれて良かった。

 で、住宅地パネル(仮)が崩れてるって時点でちょっと分かった通り、どうやらやっぱり完全クリアされた住宅地パネル(仮)は消えたらしい。いや、消えたって言うのはちょっと違うか。何故ならちゃっかり「家」や住宅地パネル(仮)に発信機のようなものを設置していた司令部によれば、どうやらもっと東に反応があるらしいからな。

 次のステージなのかそれとも単に奥なのかは分からないが、とりあえずこの住宅地パネル(仮)を全部クリアしないといけない事だけは確定した。……確定したんだが、問題はだな。


「クリアしても「異界の石板」が手に入る訳じゃないとか聞いてないのですが?」


 っていう事らしいんだよな。ちなみにちゃんとコンパスを持ち込み、あの森の中心に辿り着けた召喚者プレイヤーは、そこに「異界の石板」がはめ込まれた柱がある事を確認している。

 そしてその「異界の石板」に「夢」アイテムと「残滓」アイテムをはめ込んだ場合は私がクリア補助をした場合と同じ。つまり「異界の石板」は手に入らない。正解は、その柱から「異界の石板」を取り外す事だったらしい。

 その場合はその場で外へ放り出されるのだそうで、次に突入したら私と同じく、あの推定他のステージのミニチュアがある場所に飛ばされたんだそうだ。「異界の石板」の所持が条件だったか。


「なので現在、「異界の石板」未所持の人はまず「異界の石板」の取得を推奨、コンパスは引き続き持ち込みを継続と。……ルイシャンも取れるんでしょうか」


 こうやって誰もが手に入れられるようになってるって事は、たぶん「異界の石板」を持ってないと同じ場所に移動できないって可能性も高いからな……最終的には全員が「異界の石板」を持ってる状態で突入する事になるだろうし。

 まぁでもそういう事なので、とりあえず一旦「異界の石板」を持っている人の突入は中止、「異界の石板」を持っていない人のみ住宅街パネル(仮)の「家」に突入するように、とアナウンスがあった。

 それを受けて私は一旦下がる。後方の工事現場で領域スキルを展開してサポートだ。まぁ残りのログイン時間が少ないって言うのもあるけど。


「しかし、昼一からそのままぶっ続けでログイン制限まで続けるのは久々では?」


 現在、金曜日の午後だからな。お盆休みは次の土日で終わりって事で、余計に皆気合が入っているっていうのはあると思う。というか、このお盆休みをほぼ全部突っ込んでようやくクリアできた、元谷のエリアの難易度がおかしいんだよな。ひたすら時間がかかるって意味で。

 いやまぁわざと持ってきたんだったら流石というところだが、正直ちょっと、このタイミングに合わせてボリュームを増したんじゃないかって疑惑が無い事も無いというか……流石に無いと思いたいけど、あんまりにも手数と時間がかかったから……。


「……まぁ、この分だとリアル夜内部時間明日には大半の人が「異界の石板」を手に入れているでしょうし、そこからどうなるかですね」


 私もだいぶ「夢」アイテムと「残滓」アイテムを使ってしまったからな。出現させた復活レイドボスが再びアイテムをドロップしたのかどうかはまだ聞いてないし。大量消費したのはちゃんとカバーさんに伝えたけど。

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