第2513話 73枚目:最下層

 という事で階段を降りて行き、その先も同じような構造だったのを確認。今度は最初から罠を探して探索していくと、同じく罠だらけの部屋というか檻があった場所に、次の階段があった。

 パターンが分かってしまえば後はそれを繰り返すだけだ。途中でマップの共有役なんかで人数が減ったものの、4階層分も進んだ頃には応援が追いついてきた。まぁどうしても移動と罠の解除に時間がかかるからな。

 そして進んだ先、10階層目だな。そこはここまでと打って変わり天井の高い大部屋が1つあるだけだった。階段は部屋の隅にある形だったので、その時点で嫌な予感はしたんだが。


「あぁ、まぁ来ますよね」


 そこにいたのが「モンスターの『王』」(最終決戦形態)だったのはいいんだ。相手はあちこちに状態異常にするビームを発射する緑色の宝石みたいなものを仕込んだ巨大ロボだったから、「遍く染める異界の僭王」なのも確定。

 それは良かったし、階段から最初の1人が床に足を付けた時点で巨大ロボが動き始めたのもまぁ想定外ではない。人数が少ないのはちょっと困ったが、応援が来るならしばらく観察しながら耐えればいいだけだ。

 実際階段が封鎖される事は無かったし、司令部の人が検証してくれたところ、無事1階まで往復する事が出来たようだ。そのついでにナマモノ製の巨大ロボが最下層(推定)で待っている事を伝えてくれたらしい。後から突入して1階での召喚者プレイヤー捜索に加わっていた組も合流してくれたから。


「で、来るのはいいんですけど」


 人数は少ないが、そこはベテラン勢と領域スキル持ち+私とエルルだ。サーニャはまだ合流していないので一旦戦力外とする。滅茶苦茶に広いからな、ここ。捜索人員も引き上げちゃったし。

 5階層目まで進んだ時に一回、戻って探さなくていいのかって聞かれたんだけど、その時点では他に(マップ埋めを兼ねて)他の後続召喚者プレイヤーと同じく人数で探してるって説得して来てもらった。

 なので、戦力的な不安はまぁ無い。ので、様子見も兼ねて戦闘を開始したんだ。……が。


「私の領域スキルが拒絶されて通らないのはまぁ想定内として、今のエルルが攻撃に回って大して削れていかないってどうなってんです、こいつ……!」


 ちなみに周囲のベテラン勢召喚者プレイヤーもしっかり攻撃してくれているし、最初の超巨大な大きさではなく、再現レイドボスとして出てくる時の、本来の大きさと同じだ。

 とりあえず見える範囲での行動は変わらないし、攻撃すればナマモノ製のパーツをボロボロ落としてモンスターに変えるところまで含めて反応は同じだ。腕での薙ぎ払いだけは、肩の位置が上がったから半円を描くような形になって狙いにくくなったが。

 エルルの攻撃力が高いのは間違いないから、巨大ロボのターゲットはエルルから移らない。つまり周りからは殴り放題だ。私と、私の領域スキルによるバフを受けた魔法使い召喚者プレイヤーまで含めて。


「これだけ叩き込めば、クラン用に調節された再現レイドボスどころか、当時のステータスのままなら邪神の手助けがあった状態の奴ですら消し炭になっているでしょうに!」

「それは同意」

「ほんとそれな」

「ダメージが入ってない訳じゃなさそうっていうのがね?」

「探索班待ちかね」

「これでオリジナルと同じく、地下に本体がいたらどうするよ」

「地下まで行ってぶん殴る一択」

「そもそもあれ本体じゃん?」

「【鑑定】通ったしなぁ」


 なお種別はレイドボス、名前は「遍く染める異界の僭禍」。名前の変化パターンも変わらないし、種別レイドボスが1つのイベントステージにたくさん出てくるっていうのは既に経験済みだ。主にあの壁で。

 しかし、更に地下に本体なぁ……。本体というか、リソースの蓄積場所、いや、供給を受ける何かしらの仕掛けはあってもおかしくないかもしれない。だったとしても、司令部の人を含めた探索班が思いつかないとは思えないから、今探している筈だ。もうちょっと結果を待とう。

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