第2499話 73枚目:予定狂変
2枚目の陽炎のようなものの壁の突破は、稼働率が非常に高い土曜日の夜という事もあり、とてもスムーズに済んだ。いやぁ、実に早かったな。夜のログイン時間が終わる頃には、2枚目を越えたところに作られる砦と防壁が、ほぼ完成してたから。
後方の拠点づくりでそれだったのだから、2枚目の陽炎のようなものの壁を越えたエリアの攻略状況も似たようなものだ。そろそろログアウトかな、と思った辺りで、3枚目の陽炎のようなものの壁が見つかったって連絡が来た。
司令部はここで無理をすることなく、全
「まぁ別に、予想が外れてさらに大きな構造物、とかでもいいんだけど」
でもフリアドの運営は、とりあえず今の所難易度を下げるつもりは無いみたいだし。かといってそれより上だと一足飛びになるし。等と思いながら就寝。
朝はいつも通り起きて朝ご飯。そしていつも、よりも少し早めにログイン。眠りが浅かった感じは無いんだが、朝ご飯がさくっと食べられたからかな。半時間弱ぐらい早い。
まぁ何なら途中で一旦ログアウトしてもいいし、と思いながら砦の一室で起きて、まずは司令部更新の全体連絡スレッドとクランメンバー専用掲示板を確認。
「!?」
……しようとした瞬間に、凄まじい破砕音が響き渡った。え、は!? なん、いや今はそれどころじゃない!
即座に部屋を飛び出して儀式場に移動。そこに詰めていた人に軽く挨拶して領域スキルを戻し、旗槍を受け取る。
「突入予定時刻はいつでしたか!?」
「内部時間3時間後でした!」
「分かりました、私が先行して突入します! 後は任せます!」
「ご武運を!」
そう。予定ではこの日曜日の朝一番、というには遅いかもしれないが、大体の
だが次の予想は、と思いながら砦から出て、まずその屋上へ。空気の足場を出して【飛行】も併用し、高速で移動しながら見据えた先に見えたのは。
「案の定、モンスターの出現スポットや構造物を元にした大物ですか……!」
ナマモノ素材の巨大ロボット、白いブロックを繋いだ巨大な人形、全身が腫れ上がったような巨大生物、相応サイズのアーム付きの巨大な歯車に、瀕死状態の「伸び拡がる模造の空禍」のような巨大スライム。
見たことがある。どれも見たことがある。分かっていた。そうだろうなとは思っていたし来るならそれだろうと思っていたし、何より対処自体は可能だ。あれならまだひたすら殴るだけでいい。領域スキルだって通じるだろう。
だが問題はタイミングだ。この、私がたまたま何となくいつもより早めにログインした瞬間の、3枚目の陽炎のようなものの壁。その向こうへの突入と、突入者の全滅による超広範囲高威力の攻撃。
「ほんっとうに、こちらがやられると一番困るのが何なのか、よく知っている事です!!」
前から違和感はあったしそんな気はしたが、気付かれたとみて遠慮しなくなったか!? このタイミングでこんな事をするんだら司令部もベテラン勢もその正体には気づいているだろうし、司令部は人数が少なくなっているとはいえ、今死に戻った
あの、ゲテモノピエロは!!
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